長引く痛み、もしかしたら「中枢性感作」が関係しているかもしれません。

はじめに

「長引く痛み」に悩まされている方はいらっしゃいませんか? 痛みは体の異常を知らせる大切なサインですが、時にその信号が過剰になり、いつまでも痛みが続いてしまうことがあります。特に、数ヶ月、数年と痛みが引かない慢性痛の場合、単なる体の損傷だけでなく、脳や神経の働きが大きく関わっている可能性があります。今回は、慢性痛の複雑なメカニズムの一つである「中枢性感作」について、その正体と、なぜ長引く痛みにつながるのかを分かりやすく解説していきます。

1. 慢性痛の要因(循環不全、癒着、血管の異常増殖、炎症)

痛みが長引く慢性痛には、様々な要因が複雑に絡み合っています。一般的な急性痛が特定の組織損傷から生じるのに対し、慢性痛では以下のような複数の要因が重なって痛みが継続、あるいは増幅されることが少なくありません。

  • 循環不全: 筋肉や関節、神経など、体の組織に血液が十分に供給されないと、酸素や栄養素が不足し、老廃物が蓄積します。これが組織の機能低下や炎症を引き起こし、痛みの原因となります。特に、冷えや自律神経の乱れは循環不全を招きやすいです。
  • 癒着: 過去の怪我や手術、繰り返される炎症などにより、組織と組織がくっついてしまう状態を「癒着」と呼びます。癒着が生じると、その部位の動きが制限され、神経や血管が圧迫されて痛みやしびれを引き起こすことがあります。
  • 血管の異常増殖: 慢性的な炎症や組織の損傷部位では、痛みを伝える神経とともに、微細な血管が異常に増殖することがあります。この新生血管は非常に脆く、炎症を維持したり、神経線維がこの血管にまとわりつくことで痛みが強まると考えられています。
  • 炎症: 組織の損傷や感染などから体を守るための防御反応が炎症ですが、これが長期間にわたって続くと、痛みを引き起こす物質が放出され続け、痛みが慢性化します。特に、自律神経の乱れやストレスは炎症を長引かせる要因にもなります。

これらの要因は単独で存在するだけでなく、相互に影響し合いながら、痛みを慢性化させる土台を作り上げていきます。

2. 中枢性感作とは

「中枢性感作」とは、簡単に言えば、脳や脊髄といった「中枢神経系」が痛みに過敏になってしまう状態を指します。通常、体の一部に損傷があると、その情報は末梢神経を通じて脊髄、そして脳へと伝わり、「痛み」として認識されます。しかし、長期間にわたって痛みが続いたり、強い痛みが繰り返されたりすると、この情報伝達のシステムに変化が生じます。

具体的には、

  • 痛みの増幅: わずかな刺激でも強い痛みとして感じられるようになる。
  • 痛みの拡大: 痛い場所の周囲まで痛みが広がる。
  • アロディニア: 通常は痛みを感じないような軽い刺激(例えば、服が触れる、軽く撫でるなど)でも痛みとして感じてしまう。
  • 痛覚過敏: 通常痛いと感じる刺激が、より強く痛いと感じる。

といった現象が起こります。これは、中枢神経系がまるで「痛みのボリュームのつまみ」を上げすぎてしまったような状態です。本来、危険を知らせるためのアラーム機能が過剰に敏感になり、体の回復が進んでいるにも関わらず、痛みを感じ続けてしまうのです。この中枢性感作は、組織の損傷が回復した後も痛みが続く原因として、近年特に注目されています。

3. 慢性痛と中枢性感作 中枢性感作の注意点

慢性痛の治療において、中枢性感作の理解は非常に重要です。初期の痛みは怪我や炎症など特定の原因から生じますが、痛みが長引くにつれて、中枢神経が感作されてしまい、痛みが「病気」そのものとなってしまうことがあるのです。

慢性痛と中枢性感作の関係:

例えば、腰を痛めたとして、数ヶ月経てば組織の損傷はほとんど治癒しているはずなのに、なぜか痛みが続く。これは、腰の損傷が治っても、中枢神経系が痛みを「記憶」し、過敏な状態を維持してしまっている可能性があります。脳が痛みを学習し、その痛みのパターンを再現し続けるようなイメージです。患者さんにとっては「ずっと痛い」という事実があるため、その痛みが「心の問題」であると片付けられることに強い抵抗を感じるかもしれませんが、中枢性感作は「脳の機能的な変化」であり、実際に脳の回路が変容している状態です。

中枢性感作の注意点:

  • 「気のせい」ではない: 中枢性感作による痛みは、決して「気のせい」ではありません。実際に脳と神経系に変化が起き、痛みが現実のものとして感じられています。患者さんの訴えを真摯に受け止めることが大切です。
  • 局所的な治療だけでは不十分な場合がある: 患部へのアプローチはもちろん重要ですが、中枢性感作が関与している場合、それだけでは痛みが改善しないことがあります。脳や神経系へのアプローチ、つまり心身全体を考慮した多角的な治療が必要となります。
  • 早期の介入が重要: 痛みが慢性化する前に、中枢性感作の兆候を捉え、適切な介入を行うことで、痛みの長期化を防げる可能性があります。痛みが長引く場合は、専門家への相談を躊躇しないことが肝心です。
  • 患者さんの理解と参加: 中枢性感作のメカニズムを患者さん自身が理解することで、不安が軽減され、治療へのモチベーション向上につながります。痛みの原因が「脳の変化」であると知ることで、新たな治療の選択肢が見えてくることもあります。

オステオパシーでは、体の構造と機能の相互関係を重視し、全身のバランスを整えることで、中枢神経系への過剰な刺激を和らげ、痛みの連鎖を断ち切ることを目指します。

終わりに

長引く痛み、慢性痛は、単なる組織の損傷だけでなく、中枢性感作という複雑なメカニズムが深く関わっていることがあります。体の循環不全、癒着、血管の異常増殖、炎症といった局所的な要因に加え、脳や脊髄が痛みに過敏になることで、痛みがいつまでも消えない状態を作り出してしまいます。

大切なのは、「痛みが長引くのはおかしい」と認識し、その痛みが単なる患部の問題ではないかもしれないと理解することです。もしあなたが長引く痛みでお悩みでしたら、中枢性感作の可能性も視野に入れ、専門家にご相談ください。適切な評価と、全身のバランスを考慮したアプローチによって、痛みの連鎖を断ち切り、より快適な生活を取り戻すことができるかもしれません。

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