はじめに.
私たちは日々、何気なく生きているように見えて、実は体の中では驚くほど複雑で膨大な活動が繰り返されています。心臓は1日10万回も拍動し、腎臓は毎日何百リットルもの血液をろ過し、腸は休むことなく食物を消化吸収し続けています。
これらの内臓の働きはほとんど意識されることはありませんが、私たちの「今」を支える非常に大切な存在です。今回は、内臓の働きに改めて目を向けながら、痛みや不調との関係についても考えてみたいと思います。
1.内臓は毎日頑張っている
心臓は1日約10万回、85歳までに約31億回も鼓動し続けます。
肺は1日に2万回以上の呼吸をし、腸は分節運動や蠕動運動を繰り返し、私たちの栄養吸収や排泄を担っています。
腎臓は一日におよそ173リットルの血漿をろ過し、85年で約5,370,000リットル(5,370トン)もの処理を行っています。
これらすべてが休むことなく、無意識のうちに行われているという事実は、本当に驚くべきことです。
2.無意識の偉大さ
私たちは、歩くこと、食べること、寝ること、話すこと――日常の動作を無意識に行っていますが、それを可能にしているのが、内臓を含む自律神経や身体全体の連携システムです。
内臓は、ストレス、食生活、睡眠、姿勢など、私たちの暮らしのあらゆる影響を敏感に受け取っています。にもかかわらず、常に働き続け、私たちを守ってくれているのです。
日々の生活の中で内臓に“ありがとう”と感じられるような、自分の身体との丁寧な付き合い方が、これからの健康にとってとても大切になると感じています。
3.痛みと内臓の関係
慢性的な腰痛、肩こり、膝痛、股関節痛など――これらの慢性痛には、内臓の働きとの深い関わりがあることが近年の研究でも明らかになってきています。
例えば:
- 腸内細菌の乱れは慢性炎症を引き起こし、関節痛や自己免疫的な症状との関係が示唆されています。
- 肝臓や腎臓の解毒機能が低下すると、体内に蓄積した化学物質や老廃物が慢性的な炎症や痛みを引き起こすことが考えられます。
- 慢性的な痛みを持つ人は、糖尿病・高血圧・脳卒中・がんといった大病のリスクが高まるという報告もあります。
つまり、痛みは「骨や筋肉」だけでなく、「内臓との関係」からも捉える必要があります。
慢性痛は「大病の前兆」として、身体からのメッセージである可能性があるのです。
終わりに.
私たちの内臓は、文字通り「命を支える存在」です。
その働きを邪魔しない、できるだけ調和の取れた生活――たとえば、腸に優しい食事、肝臓を疲れさせない休息、姿勢や歩きの改善など――を意識することが、痛みや病気の予防、ひいては人生の質の向上につながるはずです。
内臓の偉大さに感謝しながら、自分の身体と丁寧に向き合っていく。
そんな暮らしを一緒に目指していきましょう。
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