14.変形性股関節症 大腿骨頭の上外側変移について

はじめに

変形性股関節症(OA)では、関節軟骨や関節包の変化により、股関節の荷重バランスが崩れていきます。

その中でも特徴的な変化のひとつが、大腿骨頭の上外側(superolateral)方向への変移です。

この変位は痛みや可動域制限の一因となるだけでなく、病期の進行や手術適応にも関わる重要な所見です。

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1.大腿骨頭が上外側変移する割合

古くからの放射線学的研究(Resnick 1975、Ledingham 1992 など)では、

変形性股関節症の約6〜7割が上外側方向への移動パターンを示すと報告されています。

近年の3DCT解析(Inagaki et al., 2023)でも、同様に**外側化(lateralization)や上方化(superiorization)**が高頻度に認められ、臼蓋や大腿骨の形態との関連が明らかになっています。

上外側変移は、単なる関節のズレではなく、荷重軸が外側へ偏位していることの結果でもあります。

つまり、骨頭が「ずれる」というよりも、「支えられなくなって外側に逃げていく」状態です。


2.上外側変移の要因

上外側変移が生じる背景には、いくつかの構造的・機能的要因があります。

  • 軟骨の不均一な摩耗

    股関節上外側部の軟骨が選択的に摩耗することで、頭部がその方向に傾斜・滑走しやすくなります。

  • 臼蓋被覆の不足(特に上外側縁)

    臼蓋形成不全などで上外側の屋根が浅いと、荷重を支える力が弱まり、骨頭が上外側へ押し出されます。

  • 殿筋群(中臀筋・小臀筋)の緊張や牽引方向

    股関節外転筋の短縮やバランス不良により、骨頭を上方・外方へ引き上げる力が持続的に働きやすくなります。


3.施術について

上外側変移に対しては、単に局所を矯正するのではなく、全体の力学バランスを整えながら骨頭の中心化を図ることが大切です。

  1. 全体調整

    骨盤・仙骨・腰椎のアライメントを整え、荷重軸を正中方向に戻します。

    仙骨ベースの左右差や寛骨の前方回旋を整えることで、股関節への過負荷を軽減します。

  2. 小臀筋・中臀筋のリリース

    過緊張した殿筋群は骨頭を上外側へ牽引します。

    これらを穏やかにリリースし、骨頭が臼蓋内で自由に動ける状態をつくります。

  3. 骨頭の牽引・外転・内側誘導

    尾側方向への軽い牽引を加えながら、股関節を15〜25°ほど外転。

    この姿勢で大転子を内側に誘導しつつ、股関節を正中位に戻すと、骨頭は自然と臼蓋中央に吸い寄せられるように整います。

    これは、臼蓋被覆を最大限に活かし、上外側への滑走を抑える最も理にかなった方向です。


終わりに

大腿骨頭の上外側変移は、股関節OAにおける進行と痛みの重要なサインです。

早期にこの変化を察知し、関節中心化を促す施術や姿勢改善を行うことで、進行を緩やかにする可能性があります。

オステオパシーでは、関節そのものを無理に動かすのではなく、身体全体の構造を整えて、自然な位置へと戻すことを目指します。


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