1.テニス肘と過去の膝の怪我

はじめに.

「テニス肘(外側上顆炎)」は、肘の外側に鋭い痛みを感じ、手を使う動作で症状が悪化しやすい疾患です。一般には前腕の使いすぎやスポーツによる負担が原因とされます。しかしオステオパシーでは、肘そのものの問題だけではなく、身体全体の力学的なつながり(筋膜連結)や過去の外傷歴も含めて評価することを重視します。

今回は「過去の膝の怪我が肘の痛みにどう影響しうるのか」という視点から、テニス肘をより立体的に捉えていきます。

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1. テニス肘とは

テニス肘(外側上顆炎)は、肘の外側にある「上腕骨外側上顆」周囲の腱に微細な損傷が起こり、炎症や変性が生じる状態です。

特に負担がかかりやすい筋肉は以下の通りです。

  • 短橈側手根伸筋(ECRB)
  • 総指伸筋(EDC)
  • 長橈側手根伸筋(ECRL)

これらは手首を反らす(背屈)、物を握る、手をひねるといった動作を支える筋群であり、日常生活でも酷使されやすい構造です。

しかし、肘周囲にばかり目を向けると、根本的な原因に辿りつけないことがあります。

肘が「過剰に負担せざるを得ない理由」が身体の他部位に潜んでいるケースが多いからです。


2. 筋膜連結で説明:過去の膝の外傷と肘への負担

オステオパシーの視点では、身体は筋膜という立体的な張力システムで全身がつながっており、局所だけでなく力学的な連鎖の中で症状が生じると考えます。

● 過去の膝の怪我が残す「ねじれ」や「緊張」

膝の靭帯損傷、打撲、半月板のトラブル、または手術などにより、以下のような変化が残ることがあります。

  • 重心が左右どちらかに偏る
  • 膝〜股関節の外旋・内旋パターンが固定化
  • 歩行で片側の下肢に過度の負担
  • 体幹の回旋癖が生じる
  • 片側の背中〜肩へかけて張力が持続する

これらはすべて筋膜を介して上半身に伝わり、最終的には腕の使用パターンに影響します。

● 下肢の歪み → 体幹の回旋 → 肩・前腕の負担へ

例として、

  1. 右膝を怪我してから、右脚に体重をかけにくい
  2. 身体は代償として左脚に重心を置き、体幹が非対称に
  3. 右側のFunctional Lineの力の伝達効率の低下
  4. 手を使うたびに左肘の外側にストレスが集中
  5. テニス肘の発症 or 慢性化

このような“遠くの怪我が肘に負担を生む”という連鎖は珍しくありません。

特に筋膜のつながり)を考えると、

膝の外傷 → 体幹のねじれ → 肩の不安定性 → 前腕の過負荷

という構造的ストーリーを描くことができます。


3. 全体を観ることで局所(患部)の意味を推測する重要性

肘が痛いからといって、肘だけ治療するのは不十分なことが多いです。

オステオパシーでは、

  • 過去の外傷歴
  • 姿勢・歩行パターン
  • 骨盤・肋骨・脊柱の動き
  • 上肢帯の安定性
  • 呼吸パターン

これらすべてをひとつの「機能的なつながり」として評価します。

● 局所の痛みは“結果”であることが多い

肘の痛みは、

  • 体幹のねじれ
  • 肩の不安定性
  • 背骨の側屈パターン
  • 骨盤の傾き

    などの問題が蓄積した末に現れたサインである可能性があります。

このため、患部だけを治すと再発しやすく、

全体を整えることで初めて「肘が痛くなる理由」が消えていくというのがオステオパシー的な考え方です。


終わりに.

テニス肘は、肘の使いすぎによって生じる症状ですが、過去の膝の怪我や長年の姿勢の癖が原因で、肘が代償的に働かざるを得ない状態になっているケースは少なくありません。

「なぜ肘が痛くなったのか?」

「どんな連鎖の結果として肘に負担が集中しているのか?」

こうした身体全体の視点をもつことで、より根本的な改善と再発予防が可能になります。


【参考文献】

  • Myers, T. W. Anatomy Trains: Myofascial Meridians for Manual and Movement Therapists.
  • Schleip, R. Fascia: The Tensional Network of the Human Body.
  • 形態学・バイオメカニクスに関する標準的整形外科学テキスト
  • Osteopathic Principles and Practices 各種文献

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