肩を上げる動きは、肩だけで完結しない
左肩がなかなか上がらない。そんな悩みで来られた50代女性がいました。半年ほど前から五十肩になり、肩の動かしにくさが続いていたそうです。
後日、このようなお声をいただきました。
肩とは離れた古傷の周りに触れた後、肩がスムーズに上がるようになって驚いた、という内容です。私にとっても、痛む場所だけで身体を区切らずに見ることの意味を、改めて感じるケースでした。
同じようなお悩みがある方へ
五十肩の症状は、痛みが出ている場所だけでなく、姿勢・呼吸・歩き方・これまでの身体の使い方が関係していることもあります。
「自分の場合はどこを見たらよいのか知りたい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。
五十肩という名前と、目の前の身体
五十肩では、肩の痛みと可動域の制限が現れます。肩関節を包む組織などの炎症や硬さが関係することがあり、痛みや動きにくさの程度は時期によっても変わります。
だからこそ、肩の状態をきちんと見る必要があります。ただ、同じ「五十肩」という言葉で表されていても、その方がこれまでに経験してきた手術やけが、身体の動き方は同じではありません。
今回、肩に加えて気になったのが、過去に腹部の手術を受けた際の傷でした。
古傷の周りで感じた動きにくさ

傷の周囲を確認すると、皮膚や筋膜が癒着しているような動きにくさがありました。そこで、その場所の柔軟性が肩の動きにも関係しているかもしれない、と考えました。
腕を上げるとき、肩甲骨や胸郭、体幹も一緒に動きます。肩の周囲だけを見るのではなく、お腹を含めた身体の動きに目を向けたのは、そのためです。
「肩が上がらないのに、お腹を見るんですか?」と思われるかもしれません。でも、痛みのある場所から少し視野を広げると、別の手がかりが見つかることがあります。
筋膜のつながりを、どう考えるか
筋膜は、筋肉などを包み、身体の各部分とつながっている組織です。分かりやすく言えば、身体の中に広がる布のようなイメージです。
布のある部分が動きにくければ、離れた部分を動かしたときにも引っ張りを感じることがあります。もちろん身体は一枚の布そのものではなく、筋膜や関節、神経などが複雑に関わっています。
このケースでは、腹部の傷周囲の動きにくさが、そうした身体のつながりを通じて肩の動きに関わっていた可能性を考えました。古傷がある方すべてに同じことが起きる、という意味ではありません。
お腹への優しい施術と、肩の変化
傷の周りを手で優しく動かし、皮膚や筋膜の柔軟性が出るように施術しました。その後、左肩の動きを確認すると、可動域が広がっていました。
患者さんも、肩がスムーズに上がるようになったことに驚かれていました。肩の動きを変えるために、肩から離れた場所に触れる。こうした反応は、身体を全体として見ていくうえで、次の判断につながる手がかりになります。
一方で、この変化から肩の状態をすべて説明できるわけではありません。見つかった反応を大切にしながら、その方の症状と経過に合わせて考えていきます。

痛む場所と、これまでの経過をつなげて考える
オステオパシーでは、痛む場所を見ないのではなく、その場所を身体全体の中で捉えます。肩そのものの状態を確かめ、必要に応じて過去の手術やけがにも目を向ける。今回の傷も、そうして見つかった手がかりの一つでした。
肩の痛みや動かしにくさが続いていて、身体全体との関係も含めて相談したい方は、OQにご相談ください。強い痛み、けがの後に動かせない状態、しびれや発熱などがある場合は、医療機関での確認も大切です。
よくある質問
肩や首の症状でも、全身を見るのはなぜですか?
肩や首は、胸郭、肩甲骨、背骨、呼吸、腕の使い方と関係しています。痛い場所だけをゆるめても戻りやすい場合は、全体のつながりを確認することがあります。
五十肩のように動かしにくい状態でも施術できますか?
状態を見ながら進めます。炎症が強い時期は無理に動かすよりも、痛みを強めない範囲で周囲の緊張や動きの関係を確認することが大切です。
強い刺激が苦手でも大丈夫ですか?
強く押すことを目的にはしていません。身体の反応を見ながら、必要な範囲で進めます。不安がある場合は、施術中にも遠慮なくお伝えください。

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