位置性斜頭症を「頭だけの問題」にしないために|小児オステオパシーを学ぶ中で考えたこと


位置性斜頭症を「頭だけの問題」にしないために|小児オステオパシーを学ぶ中で考えたこと|院内の様子

頭の形と、毎日の動きの間にあるもの

私は現在、子どものオステオパシーを勉強しています。頭蓋の構造を学ぶと、つい骨の位置や動きに目が向きます。ただ、赤ちゃんの頭の形を考えるなら、それだけでは足りないのではないかと思っています。

いつもどちらを向いているのか。反対側へ自分で顔を向けられるのか。起きている間は、どんな姿勢で過ごしているのか。

位置性斜頭症を調べると、頭の形と、成長中の身体が経験する姿勢・動きとの関係が見えてきます。今回は症例の報告ではなく、今学んでいることを医学的な資料と照らし合わせた整理です。

同じようなお悩みがある方へ

子どもの症状は、痛みが出ている場所だけでなく、姿勢・呼吸・歩き方・これまでの身体の使い方が関係していることもあります。

「自分の場合はどこを見たらよいのか知りたい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。


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「骨がずれた」よりも、偏った荷重の中で育つ形として見る

位置性斜頭症では、後頭部の一側が扁平になります。例えば右後頭部が扁平なら、右の耳が前へ押し出され、右前額部が前に出ることがあります。上から見た平行四辺形のような形が、診察で確認される特徴です。[1]

扁平な部分だけではなく、頭全体の形が変わる。ここは少し意識しておきたいところです。

ただし、それを外観だけで「右の骨が屈曲している」「特定の頭蓋ストレインが原因」と言い切ることはできません。形態的な変形の記述と、オステオパシーで用いる触診上のモデルは同じではありません。そのモデルを、確認済みの原因や矯正機序として親御さんへ伝えることには慎重でありたいと思います。

同じ方向を向く、その背景まで確認する

首の回旋制限や筋性斜頸があると、同じ側を向いて過ごしやすくなります。頭の形だけを見ていても、そこにかかる圧が続く背景は分かりません。ガイドラインでも、首の動き、筋性斜頸、運動発達、抱っこや授乳の姿勢などが評価項目に含まれています。[1]

乳児期には、頭の向きに伴って四肢の姿勢が変わるATNRなどの反射も見られます。ただ、「ATNRがあるから斜頭症になった」「頭蓋を調整すれば反射が統合される」と、原因や効果を一本につなぐのは避けたいです。

私が見たいのは、反射名を付けることより、自発的に左右を向けるか、月齢に応じた動きがあるか、左右差が固定されていないかという具体的な様子です。気になる非対称が持続する場合は、発達や神経学的な評価も含め、適切な専門職につなぐ必要があります。

「そのうち変わる」と「親が直す」の間にある関わり方

成長して自分で頭を動かせるようになると、頭の形が改善する子どもは多くいます。一方、首の制限や強い向き癖が続く場合は、同じ場所への荷重が続きやすくなります。自然経過を期待しつつ、改善しにくい背景がないかを確認する、という考え方です。[1]

家庭での対応は、頭を押して形を作ることではありません。覚醒中に大人が見守る腹ばい遊び、普段と違う側からの声かけ、抱っこや授乳の向きの工夫など、自分で動く機会を増やします。首を無理に回すことや、自己判断で強く伸ばすことは勧めません。[1]

睡眠は仰向けのままです。頭の形を理由にうつ伏せ寝へ変えたり、睡眠中に矯正枕・固定用クッションを使ったりしないでください。[1]

そして、親御さんを原因にしないこと。生活の工夫を提案するときも、育児の負担まで増やしていないかを考えたいと思います。

徒手療法の研究はある。ただし、説明できる範囲は限られる

オステオパシーに関する研究として、Bagagioloらは、生後1〜6か月の乳児96名を、体位調整とオステオパシー6回の群、体位調整と軽い接触6回の群に分けました。頭蓋非対称の指標が研究の基準値未満となる割合は、介入終了時と1歳時の追跡でオステオパシー群が高い結果でした。[2]

研究計画上の頻度は、初回、1週間後、初回から3週間後、以後3週間おきに3回。評価を含め1回45分、約3か月で計6回です。[3]

Pastor-Ponsらの研究では、生後28週未満の乳児34名に、養育者教育と週1回20分、10回の小児統合徒手療法を併用しました。教育のみの群に比べて頭蓋円蓋非対称指数(CVAI)が改善しましたが、頭蓋指数(CI)には群間の有意差がありませんでした。[4]

改善を報告した比較試験があることは、参考になります。ただ、どちらも家庭での対応を含む複合的な介入です。研究ごとに手技や評価指標が異なり、同じ効果がすべての施術者や子どもに当てはまるわけでもありません。

「何回か触れれば頭が丸くなる」とは言えませんし、これらの研究から特定の骨を動かしたことや、膜の張力を変えたことが改善機序だったと結論することもできません。頭の形の変化と、将来の発達や生活機能への効果も、別に検討すべき問いです。

頻度は研究を参考にする。変化は測って確かめる

週1回10週間という報告と、3か月6回という報告はありますが、頻度の優劣を比べた試験ではありません。毎週がよいのか、2〜3週間ごとで十分なのか、月1回でも同じ結果なのか。そこは分かっていません。

私自身は、研究を判断材料にしながら、月齢や状態に応じて2週間〜1か月程度で経過を確認することも考えています。ただし、これは最適な頻度として確立したものではなく、個別に検討する方針です。

経過を見るなら、頭の形だけでなく、首の左右の動きや頭位の好みも追いたいです。形状を測る際は、可能な範囲で同じ方法・条件を使う。直後に柔らかく感じたという触診だけで、改善したと判断しないようにします。

変化が乏しいときは、続ける理由を見直す。小児科や頭の形の専門外来での評価が必要なら、先に相談する。その順番を守りたいと思っています。

1歳未満の早い相談と、1歳以降に残る課題を分ける

頭蓋の成長が速い時期に相談することには意味があります。とくに強い変形や改善しないケースは、「1歳になるまで待つ」のではなく、早めに専門家へ。ヘルメット治療の適応や時期も、専門家と検討するものです。縫合に沿う隆起や悪化する変形などがあれば、頭蓋縫合早期癒合症の鑑別も必要です。[1]

1歳を過ぎた子どもでは、頭の形への変化を約束せず、首や身体の動き、生活上の困りごとを別に評価します。1歳時に効果が追跡された研究は、1歳から施術を始めた研究ではありません。[2]

年齢だけで「何もできない」と決めない。ただし、「まだ直せる」と期待を持たせすぎない。この間を丁寧に考えたいです。

学んでいるからこそ、分からないところを残しておく

頭だけでなく身体全体を見たい。その一方で、「全体を見る」という言葉だけで、効果まで説明したつもりにならないようにしたいと思います。

私自身、小児オステオパシーは学習中です。現在分かっていることを確認し、変化を測り、必要なら他の専門家の判断を借りる。赤ちゃんの安全と、家族が無理なく過ごせることを、手技の理論より前に置いて学び続けたいと思っています。


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参考文献・研究計画

  1. The Royal Children’s Hospital Melbourne. (2024). Clinical practice guidelines: Positional plagiocephaly. https://www.rch.org.au/clinicalguide/guideline_index/Positional_plagiocephaly/

  1. Bagagiolo, D., Priolo, C. G., Favre, E. M., Pangallo, A., Didio, A., Sbarbaro, M., Borro, T., Daccò, S., Manzoni, P., & Farina, D. (2022). A randomized controlled trial of osteopathic manipulative therapy to reduce cranial asymmetries in young infants with nonsynostotic plagiocephaly. American Journal of Perinatology, 39(S 01), S52–S62. https://doi.org/10.1055/s-0042-1758723

  1. ClinicalTrials.gov. (n.d.). Effectiveness of osteopathic manipulative therapy in nonsynostotic plagiocephaly (NCT03970395) [Clinical trial registration]. https://clinicaltrials.gov/study/NCT03970395

  1. Pastor-Pons, I., Lucha-López, M. O., Barrau-Lalmolda, M., Rodes-Pastor, I., Rodríguez-Fernández, Á. L., Hidalgo-García, C., & Tricás-Moreno, J. M. (2021). Efficacy of pediatric integrative manual therapy in positional plagiocephaly: A randomized controlled trial. Italian Journal of Pediatrics, 47, Article 132. https://doi.org/10.1186/s13052-021-01079-4

よくある質問

痛みがある場所だけを施術するのですか?

痛みがある場所も確認しますが、そこだけで判断しないこともあります。姿勢、呼吸、関節の動き、筋膜の緊張、生活動作などを合わせて見ていきます。

どのくらいの頻度で通う必要がありますか?

症状の経過や身体の状態によって変わります。初回の評価や反応を見ながら、無理のない頻度を一緒に考えていきます。

強い施術が苦手でも受けられますか?

はい。強く押すことを目的にせず、身体の反応を確認しながら進めます。不安なことがあれば、施術中でも遠慮なくお伝えください。

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この記事を書いた人

大村颯太
・理学療法士
・健康科学修士
・発達ケア・アドバイザー上級

Sota Omura
・Physiotherapist
・Master of Health Science
・JEFPA Certified Foot Care Advisor
・Developmental Care Advisor

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