股関節の変形を、軟骨のすり減りだけで考えない

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骨頭の位置が変わると、支える組織の働きも変わる

 

変形性股関節症を見るとき、私は軟骨や骨の変化とともに、「その関節を、今どのように支えているのか」を考えたいと思っています。

レントゲンで、大腿骨頭が上外側へ移動している場合も同じです。骨頭の位置だけを見るのではなく、その位置関係の中で、関節内の靱帯や周囲の筋肉にどのような負担がかかっているのかを考えます。

関節の形が変われば、以前と同じように立っているつもりでも、支え方は変わっているかもしれません。

大腿骨頭靱帯の変性と痛み

大腿骨頭靱帯は、骨頭と骨盤側をつなぎ、股関節の安定性を補助する組織です。動きに応じて張り方が変わり、骨頭を支える働きに関わっています。

骨頭の位置関係が変わると、この靱帯にも引っ張られるなどの負担が加わる可能性があります。変形性股関節症に伴う靱帯の変性や微小な断裂は報告されており、靱帯や周囲滑膜の炎症は、痛みに関わり得ます。

「軟骨が減っているから痛い」という説明だけでは、こうした組織の変化が見えにくくなります。

一方で、画像上の偏位から、靱帯がどの程度傷んでいるかを決めつけることもできません。靱帯への負担を一つの視点として持ちながら、症状と動作を確認する、という位置づけです。

同じようなお悩みがある方へ

変形性股関節症の症状は、痛みが出ている場所だけでなく、姿勢・呼吸・歩き方・これまでの身体の使い方が関係していることもあります。

「自分の場合はどこを見たらよいのか知りたい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

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靱帯の血管と、骨頭を養う血管

大腿骨頭靱帯には血管も通っています。ただし成人の骨頭を養う血流は、主に内側大腿回旋動脈系が担っています。外側大腿回旋動脈なども関わり、靱帯を通る動脈の寄与は通常小さく、個人差もあります。

靱帯が傷めば、補助的な血液供給にも影響する可能性は考えられます。しかし、それをそのまま骨頭全体の血流不足と結びつけることはできません。骨頭の上外側偏位によって、この補助的な血流が減っていると確認されたわけでもありません。

ここは、解剖として分かっていることと、その方の体で実際に起きていることを分けて考えたいところです。

筋肉の硬さよりも、硬くして支える必要がないか

股関節の外側が緊張しているとき、その部分だけを緩めたくなることがあります。

でも、なぜ緊張しているのでしょうか。

重心が前後どちらかへ偏っているのか。骨盤が横へ移動しているのか。体幹を傾けて片脚に体重を預けているのか。そうした位置関係の中で、中殿筋や小殿筋が働き続けなければ、立位を保てないのかもしれません。

私が確認したいのは、筋肉の硬さだけではなく、その緊張が必要になっている立ち方です。

足の位置や体幹・骨盤の位置を調整して、外側の力みがどう変わるか。内転筋や腸腰筋を含めて、支え方にどのような変化が出るか。痛みと安定感の両方を見ながら確かめます。

立ち方から、歩くときの負担まで確認する

股関節の外側の筋肉が頑張り続けている場合は、その部分を緩めるだけでなく、体重のかかり方も見直したいところです。足の位置や骨盤・体幹の位置を少し変えることで、股関節の周りを強く固めなくても、安定して立てるかを確認します。

そこで立ちやすくなったら、次は歩いたときにも同じように無理なく支えられるかを見ます。足を着いた瞬間に痛みが出ないか、方向を変えると再び力みが強くならないか。必要に応じて歩幅や足の着く幅も調整し、その方の反応を確かめていきます。

こうした調整は、変形した骨や骨頭の位置を元に戻すためのものではありません。整形外科での評価や治療と並行して、今の股関節の状態に合った、負担の少ない立ち方・歩き方を探していくためのものです。

参考文献・解剖資料

O’Donnell, J. M., Devitt, B. M., & Arora, M. (2018). The role of the ligamentum teres in the adult hip: Redundant or relevant? A review. Journal of Hip Preservation Surgery, 5(1), 15–22. https://doi.org/10.1093/jhps/hnx046

大腿骨頭の解剖・血液供給(NCBI Bookshelf)


よくある質問

股関節の痛みでも、骨盤や背骨を見ることはありますか?

あります。股関節は骨盤や腰、膝、足首との関係の中で働いています。歩き方や体重のかかり方も含めて確認します。

人工関節の手術後でも相談できますか?

手術後の時期や医師からの指示によります。無理に関節を動かすのではなく、周囲の組織や身体全体の使い方を確認しながら進めることがあります。

歩く時の違和感も見てもらえますか?

はい。股関節だけでなく、骨盤、膝、足首、体幹の動きも含めて、どこに負担が集まっているかを確認します。

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この記事を書いた人

大村颯太
・理学療法士
・健康科学修士
・発達ケア・アドバイザー上級

Sota Omura
・Physiotherapist
・Master of Health Science
・JEFPA Certified Foot Care Advisor
・Developmental Care Advisor

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