身体は、短い足に合わせて暮らしてきました
人工股関節の手術を終えて、レントゲンでは左右の長さがそろっている。なのに歩くと、手術した側だけ長く感じる。膝を立てて比べると、やはり長さが違うように見える。
この感覚を訴える方は、決して少なくありません。私は変形性股関節症の方や術後の方の身体全体のケアに関わる中で、この「脚長差」の相談をよくお受けします。そして多くの場合、問題は足の長さそのものよりも、その手前にあります。
同じようなお悩みがある方へ
人工股関節・変形性股関節症の症状は、痛みが出ている場所だけでなく、姿勢・呼吸・歩き方・これまでの身体の使い方が関係していることもあります。
「自分の場合はどこを見たらよいのか知りたい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。
骨盤の傾きは、全身のやりくりの結果です

変形が進んだ股関節では、骨が削れたり関節の位置がずれたりして、足が短くなっていることがあります。人は短い足のままでは歩けないので、短い側の骨盤を下げて、つじつまを合わせます。
この傾きは、数年単位で続いてきたものです。その間に、腰方形筋や腹筋群の使い方、腰椎や胸椎の並びまでが、傾きを前提に組み替わっていきます。骨盤の傾きは「癖」ではなく、身体全体で引き受けてきたやりくりの結果だと言えます。
手術が変えたもの、変えていないもの
手術は、関節の形と足の長さをそろえます。けれども、骨盤の傾きや体幹のパターンまでは変えません。長さがそろった足に傾いたままの骨盤が乗れば、今度は手術した側が長く出る。術後に残る違和感の正体は、多くの場合ここにあると考えています。
評価で着目するポイント
脚長差を訴える方の身体を見るとき、私は足の長さの測定だけで終わらせません。骨盤の傾きがどの方向に残っているか、腰方形筋や腹筋群が左右でどうはたらいているか、腰椎・胸椎の並びが傾きをどう支えているか。代償の全体像を捉えることが、出発点になります。
アプローチの考え方
整えるべきは、長さではなくパターンのほうです。骨盤と体幹、背骨のバランスを少しずつ取り直し、手術でそろった長さに身体の使い方を追いつかせていく。その積み重ねで、重心の上下動や「長く感じる」という感覚は変わっていきます。ご自身で取り組む場合の例として、短かった側の足の押し出し練習(仰向け)なども、状態に合わせてお伝えすることがあります。
違和感を「様子見」で終わらせない
入院中のリハビリは日常生活の獲得と脱臼予防が中心で、退院後の外来も短時間です。この左右差の問題は、術後の生活の中で静かに残り続け、年月を経て腰や膝、足の指の痛みとして顔を出す可能性があると考えています。だからこそ、違和感のあるうちに一度、身体全体のバランスとして見直しておく意味があります。

OQで相談いただきたい方へ
人工股関節の手術後に、歩き方や足の長さの違和感、腰の痛みが残っている方へ。手術を受けた病院での経過観察は大切にしながら、それとは別に、身体全体の使い方を整える場所としてご相談いただけます。
よくある質問
股関節の痛みでも、骨盤や背骨を見ることはありますか?
あります。股関節は骨盤や腰、膝、足首との関係の中で働いています。歩き方や体重のかかり方も含めて確認します。
人工関節の手術後でも相談できますか?
手術後の時期や医師からの指示によります。無理に関節を動かすのではなく、周囲の組織や身体全体の使い方を確認しながら進めることがあります。
歩く時の違和感も見てもらえますか?
はい。股関節だけでなく、骨盤、膝、足首、体幹の動きも含めて、どこに負担が集まっているかを確認します。

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