長時間フライト後のふくらはぎ痛|触る前に考えたかったこと

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「早く治したい」より先に、立ち止まる必要がありました

メキシコから日本を旅行中の30代女性が、左ふくらはぎの強い痛みで相談に来られました。

長時間のフライト後、観光で歩く量がかなり増えたそうです。その後、ふくらはぎの痛みが強くなり、筋肉の周囲にしこりのような感覚も出てきました。

施術者としては、目の前に困っている方がいると、すぐに何とかしたくなります。ただ、今回はその気持ちのまま触ってはいけないケースでした。長時間移動後の片側のふくらはぎ痛では、深部静脈血栓症(DVT)を最初に考える必要があるからです。

長時間フライト後のふくらはぎ痛|触る前に考えたかったこと Googleレビュー

予約前に医療機関の受診をお願いし、超音波検査と血液検査でDVTが否定された後に来院していただきました。

同じようなお悩みがある方へ

その他・Englishの症状は、痛みが出ている場所だけでなく、姿勢・呼吸・歩き方・これまでの身体の使い方が関係していることもあります。

「自分の場合はどこを見たらよいのか知りたい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

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DVTを除外することは、施術の一部ではなく前提です

DVTは、脚の深い静脈に血栓ができる状態です。血栓が肺へ移動すると、肺塞栓症につながることがあります。

片脚の腫れ、熱感、赤み、原因の分からない痛みは、早めに医師へ相談すべきサインです。息苦しさ、胸の痛み、脈の乱れなどがある場合は緊急性があります。

今回は、まず医師の判断を仰ぐことが必要でした。

検査でDVTが否定された後も、強く揉まなかった理由

医師の検査後、DVTは否定されました。ただし、検査で陰性であっても、初回からふくらはぎへ強い刺激を入れることは避けました。

症状の起点が長時間のフライトであり、痛みも強かったためです。念の為、慎重に対応しました。

見えてきたのは、胸椎・呼吸・腹部の動きづらさでした

身体全体を評価すると、中部から下部胸椎の屈曲傾向が強く、呼吸が浅くなっていました。胸郭と横隔膜も動きづらい状態です。

さらに潰瘍性大腸炎の既往があり、腹部や腹膜周囲にも硬さを感じました。既往歴と今回の痛みを単純に結びつけることはできませんが、腹部や胸郭の動きが小さいと、呼吸に伴う体幹の広がりや、歩行時の回旋も出にくくなります。

そこで、胸椎、胸郭、横隔膜、腹部を中心に調整しました。狙いは「胸や腹部を触れば血流が治る」というものではありません。呼吸と体幹の動きを妨げている要素を減らし、歩行時に左ふくらはぎへ負担が偏りすぎない条件をつくることでした。

このあたりは、施術後の反応を見ながら判断する部分です。理屈どおりに身体が変わるとは限りませんから、歩いたときの痛みや呼吸のしやすさを、その場で確認しました。

座り続けたあとに、急に歩く量が増えた

長時間フライトでは、脚を大きく動かさない時間が続きます。その直後、旅行中に普段より長い距離を歩くことになりました。

今回の身体評価では、左腓腹筋周囲への負担が強いと考えました。長時間の座位に加え、観光中の長距離歩行が重なり、ふくらはぎが疲労しやすい状況だったのだと思います。

ただ、これは当院での見立てであって、医師の診断ではありません。安全面を確認した後も、痛みが増すか、腫れが出るか、呼吸症状がないかを見ながら経過を追う必要があります。

初回は左腓腹筋の外側に、筋肉を支える目的でテーピングを行いました。歩いてもらうと、本人は少し楽だと感じられました。旅行を中断したくない気持ちもありましたので、無理をしない範囲で様子を見てもらいました。

2回目には症状が軽減していました

長時間フライト後のふくらはぎ痛|触る前に考えたかったこと|院内の様子

2回目に来院されたときには、痛みはかなり軽減していました。

こういうとき、「胸郭と腹部を整えたから、ふくらはぎが改善した」ときれいにまとめたくなります。ただ、実際にはそれだけではありません。時間の経過、歩行量の変化、テーピング、睡眠など、いくつもの条件が重なっています。

ひとつのケースから言えるのは、ふくらはぎを直接強く刺激しなくても、身体全体を見ながら楽になる方向を探せることがある、というところまでです。同じ経過の方に、同じ結果が出る保証はありませんが、他のケースでも検証してみる価値があるなと感じました。

長時間フライト後のふくらはぎ痛|触る前に考えたかったこと|施術風景

今回のケースで残った、私自身への注意

いちばんの学びは、技術ではなく順番でした。

困っている人を治したい。その気持ちは必要です。ただ、その感情が強いほど、レッドフラッグの確認より施術を先にしたくなる危険があります。

まず、施術の対象としてよい状態なのか。医療機関での検査が必要ではないか。自分の範囲を超えていないか。

そこを確認したうえで、初めて身体全体を評価する。今回のような旅行中のケースでは、とくに外せない手順だと思います。

長時間フライト後に片側のふくらはぎが痛む場合は、まず医療機関へご相談ください。DVTなどが否定された後も痛みが残り、歩行や身体の使い方に不安がある場合は、OQで全身の状態を一緒に確認できます。

参考文献

Centers for Disease Control and Prevention. (n.d.). Understanding your risk for blood clots with travel. https://www.cdc.gov/blood-clots/risk-factors/travel.html


よくある質問

痛みがある場所だけを施術するのですか?

痛みがある場所も確認しますが、そこだけで判断しないこともあります。姿勢、呼吸、関節の動き、筋膜の緊張、生活動作などを合わせて見ていきます。

どのくらいの頻度で通う必要がありますか?

症状の経過や身体の状態によって変わります。初回の評価や反応を見ながら、無理のない頻度を一緒に考えていきます。

強い施術が苦手でも受けられますか?

はい。強く押すことを目的にせず、身体の反応を確認しながら進めます。不安なことがあれば、施術中でも遠慮なくお伝えください。

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この記事を書いた人

大村颯太
・理学療法士
・健康科学修士
・発達ケア・アドバイザー上級

Sota Omura
・Physiotherapist
・Master of Health Science
・JEFPA Certified Foot Care Advisor
・Developmental Care Advisor

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