「うちの子、なんだか走るのが苦手で」「運動会で見ていて、フォームがぎこちない」「体育のかけっこで毎年ビリ」——保護者の方から相談を受けることがある「走れない子ども」のテーマ。今回はこれを足と身体の土台から考えてみます。
こんにちは、副院長の大村颯太です。OQでは大人の歩行・下肢領域を専門にしていますが、その延長でお子さんの「動きにくさ」を相談されることも増えています。今回は「走るのが苦手」という保護者の悩みを、運動神経の問題ではなく身体の土台として読み解いてみます。
「走れない」は運動神経の問題ではないことが多い
「うちの子は運動神経が悪いから」と片付けられがちですが、実はそうとは限りません。走る動作には、以下のような身体の土台が組み合わさって必要です:
- 足のアーチが育っていること——蹴り出すための弾性
- 体幹の安定——上下動の中でぶれない軸
- 骨盤・股関節の可動性——大きな歩幅を作る
- 左右の協調——腕振りと脚の連動
- 視覚・前庭感覚の統合——加速時のバランス
これらの土台が育っていないと、いくら「練習しなさい」と言っても走るフォームは整いません。むしろ、土台が薄いまま頑張ると、怪我や運動嫌いの原因になります。
親が気づきにくい「身体の土台」のサイン
走る場面以外でも、身体の土台の弱さは日常の様々な場面に現れます:
- よく転ぶ・段差につまずく——足首の使い方が未熟
- 椅子に座っている時に姿勢が崩れる——体幹の持続力不足
- つま先立ちが多い・かかとを浮かせがち——感覚過敏や足の使い方の癖
- 字を書くと疲れやすい・乱れる——肩・腕の安定性不足
- 水泳・なわとびなど協調動作が苦手——左右の連動が育っていない
- 「だるい」と訴える——常に身体に頑張りが必要
これらは「単なる性格」「やる気の問題」ではなく、身体の土台が成長途中のサインのことが多いです。土台を整えると、走る動作だけでなく学習・生活全般が楽になることもあります。
オステオパシーで見る「走る」の土台
オステオパシーは身体全体を一つの繋がりとして見る視点を持ちます。「走る」は足だけの問題ではない——足→足首→膝→骨盤→脊柱→頭蓋まで、すべての関節と筋膜の連携で成り立っています。
OQでお子さんの相談を受けた時、以下のような評価をします:
- 足のアーチの状態と感覚(子どもの土踏まずは6〜8歳頃まで自然に形成されます)
- 足首・膝・股関節の可動域と協調
- 骨盤・脊柱の左右差・回旋制限
- 呼吸の深さと胸郭の柔軟性
- 普段の姿勢・座り方・歩き方の癖
これらの情報から、「走れない」の背景にある身体の使い方のパターンを読み解き、必要な調整を組み立てます。
病院(小児科・整形外科)との関係
大事なのは、当院は医療の代替ではないという点です。以下の場合はまず病院を優先してください:
- 明らかな変形・痛み・腦れがある
- 急に走れなくなった・歩き方が急変した
- てんかん・心臓疾患などの基礎疾患がある
これらに該当しない、または医療的評価を済ませた上で「身体の使い方の癖を整えたい」場合に、当院の自費施術が補完的に役立ちます。発達性協調運動症(DCD)の診断を受けているお子さんも、医療機関と並行で対応できます。
よくある質問
Q. お子さんの施術で大切にしていることはありますか?
A. はい、当院ではお子さんの施術にあたって以下のことを大切にしています。
- 「その日の状態」を最優先します——泣いてしまう・じっとしていられない日は無理に進めません
- 親御さんから引き離しません——抱っこ・膝の上での施術もOKです
- 「次に来てくれる」ことを大切にします——一回の変化より「また来たい」が大事
- 親御さんへのお願い——お子さんの普段の様子(座り方・走り方・困りごと)を共有してください。動画があれば最強です
Q. 学習(勉強・成績)に直接効果がありますか?
A. 直接「成績を上げる」と保証はできません。ただし、身体の土台が整うと「姿勢が長く保てる→集中が続く」「肩や首の余計な緊張が減る→疲れにくい」など、学習しやすい身体の条件が整うことはあります。「字が疲れずに書ける」「机に向かっていられる時間が伸びた」というご報告はよくいただきます。学習そのものを指導するものではありません。
Q. ADHD・ASD・LD等の診断を併せ持っていても来院できますか?
A. 来院できます。ただし、当院は診断や治療を行う場ではありません。診断を持つお子さんの身体の使い方のサポートとして、医療・療育と並行する形でご利用いただいています。じっとしていられないお子さんも、その日の状態に合わせて短時間ずつ進めるなど工夫します。診断名で対応を断ることはありません。
Q. スポーツの上達につながりますか?
A. 土台が整うことで、結果として上達が早くなることはあります。ただし、当院はスポーツ指導の専門ではありません。「走るフォームを整える」「ジャンプの着地が安定する」など身体の使い方の土台部分のサポートとお考えください。技術指導はそのスポーツのコーチにお任せします。
Q. 施術室は1Fですか?健康保険は使えますか?
A. 2階での施術となります(階段あり)。健康保険は使えません、自費施術です。お子さんの場合、初回は親御さんとの面談を兼ねて少し長めの時間でお話を伺います。料金は料金ページをご覧ください。
最後に
「走れない」「運動が苦手」は、本人のせいでも親の育て方のせいでもなく、身体の土台が育つペースの個人差であることが多いです。比べる相手は他の子ではなく、「昨日のその子」。少しずつ土台が整えば、走る・転ばない・座っていられる——日常の小さな変化が積み重なります。
気になる点があれば、まずはご相談ください。お子さんの普段の様子の動画があれば、評価がぐっと深まります。
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執筆:大村颯太(京都オステオパシーセンターOQ 副院長・2階担当)
専門:脳卒中後自費リハビリ/下肢症状(股関節・膝)/腰痛/歩行分析/インソール

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