「右に傾く」は、姿勢の問題だけとは限らない
ペルーからご家族と来日されていた80代後半の女性が、旅行中に身体が右へ傾いてきたということで来院されました。もともと右股関節に不調があり、ご家族はその影響を考えておられました。
けれども、2日前から急に傾きが強くなったという経過を聞くと、最初から股関節や膝だけに焦点を絞ることはできません。ご本人が痛みを訴えているかどうかとは別に、神経系の変化が隠れていないかを確認する必要があります。
今回、このようなお声をいただきました。
「素晴らしい対応と施術結果でした。旅行中に叔母の姿勢が崩れてしまいましたが、オステオパシーの施術で姿勢が矯正され、その後も問題なく旅を続けることができました。非侵襲的かつ自然な方法で、根本的な原因にアプローチするこの先生のやり方は非常に効果的です。お世話にならずに済むのが一番ですが、もし必要になった際には強くお勧めします。」日本語翻訳
この口コミから施術の結果だけを取り出すのではなく、来院時に何を心配し、どのように評価し、どの程度の刺激で進めたのかを含めて振り返ってみます。
同じようなお悩みがある方へ
姿勢・全身の不調の症状は、痛みが出ている場所だけでなく、姿勢・呼吸・歩き方・これまでの身体の使い方が関係していることもあります。
「自分の場合はどこを見たらよいのか知りたい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。
最初に確認したのは、身体の傾きの原因を決めつけないこと
来院時には、右への傾きがはっきりと見られました。足の痛みはないとのことでしたが、手足の違和感があり、手の協調運動や足踏み運動では、左右の動きを合わせにくい様子がありました。
このような所見があると、姿勢の左右差を単なる関節の硬さや筋肉の緊張以外の問題がないか少し心配になりました。ご高齢のため、脳や神経系の問題が背景にある可能性を考え、急性の麻痺や体調変化がないか、ご家族からも経過を伺いました。ご本人は脳や神経系のトラブルが過去に生じたことはないと話されていましたが、明らかに軽い失調症状がありました。もしかすると、軽い認知症があり、病識がなかったのかもしれません、ご高齢で小さな脳梗塞などがあり、診断を受けていない方は、時々いらっしゃいます。慢性化しているものであれば、問題ないが、少し心配でした。ただ、他の神経系由来の急性症状などはなかったので、心配し過ぎかと少し悩みました。
私は、脳梗塞や脳出血を診断することはできません。筋肉や関節の問題だけではなく、神経系のトラブルが隠れている可能性も含めて、ご家族に状況を説明しました。そのうえで施術を実施するかどうか確認し、ご家族から同意をいただいてから施術を進めることに。
施術後に疑わしい変化が増えた場合には医療機関へつなぐことを前提に、施術の可否と刺激量を慎重に判断しました。
膝の状態は、本人の訴えだけでは捉えきれないことがある

身体全体を確認していくと、右膝には軽い熱感があり、膝のアライメントにも調整が必要と思われる部分がありました。ただ、ご本人には膝の痛みの自覚がほとんどありませんでしたが、痛みがないことと、負担がないことは同じではありません。
ご高齢の方では、感覚の変化を自覚しにくかったり、うまく説明できなかったりすることがあります。そのため、姿勢、歩行、関節の動き、触診時の反応などを組み合わせて、身体がどこで支えにくくなっているのかを見ていきました。
右膝だけを強く変えようとするのではなく、股関節や体幹を含めて、膝に負担が集中しにくい状態をつくることを意識しました。身体の傾きが膝由来であれば、施術でできることがあると判断しました。
大きな変化を起こすより、身体が受け止められる刺激を選ぶ
初回は、急性の神経系の問題が完全に否定できる状況ではありませんでした。そのため、刺激量を少なくし、施術後の姿勢や体調の変化を確認できるように進めました。初回の反応だけで判断せず、帰宅後や滞在中に傾きが強くならないか、体調に変化がないかも含めて、慎重に経過を見ていくことにしました。
施術後には右への傾きがかなり戻りましたので、一安心。
その後、ご家族が約2週間の滞在中にあと2回の施術を希望され、合計3回の施術を行いました。姿勢の傾きと歩き方は少しずつ落ち着いていき、急性の悪化が見られなかったことで、私自身も慎重派としてほっとしました。
旅行中の高齢者をみるとき、家族の観察が大きな手がかりになる
今回のケースでは、ご本人より先に親族の方が「身体が右に傾いている」と気づいていました。ご本人が痛みを強く訴えていなくても、いつも一緒にいるご家族だからこそわかる変化があります。
旅行中は、長時間の移動、歩行量の増加、普段と違う環境、睡眠不足などが重なります。関節の状態が影響することもありますが、急な変化であれば、まず安全面を優先して考える必要があります。
日本での滞在を少しでも安心して過ごしていただくために、施術を行うことだけでなく、病院へ相談する目安をお伝えすることも、臨床の一部だと感じたケースでした。

出会いを通して感じたこと
日本で良い思い出をつくりたいという気持ちで、ご家族みなさんで来日されていたそうです。姿勢や歩き方が少しずつ変わり、親族の方が喜んでくださったことは、私にとっても嬉しい出来事でした。
急に身体が傾いたり、歩き方や手足の動きが変わったりした場合は、まず医療機関への相談を優先してください。そのうえで、関節や姿勢、身体の使い方について確認が必要な場合には、体調の経過を見ながら無理のない方法を考えていきます。
よくある質問
痛みがある場所だけを施術するのですか?
痛みがある場所も確認しますが、そこだけで判断しないこともあります。姿勢、呼吸、関節の動き、筋膜の緊張、生活動作などを合わせて見ていきます。
どのくらいの頻度で通う必要がありますか?
症状の経過や身体の状態によって変わります。初回の評価や反応を見ながら、無理のない頻度を一緒に考えていきます。
強い施術が苦手でも受けられますか?
はい。強く押すことを目的にせず、身体の反応を確認しながら進めます。不安なことがあれば、施術中でも遠慮なくお伝えください。

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