学童期の内股歩行は足先だけの問題ではないことがある|歩幅と歩きやすさの変化から考えた一例

内股歩行というと、つい足先の向きだけに目がいきます。ただ、実際には股関節の回旋、骨盤や腰の順応、体幹の支え方まで重なって、歩き方の見え方が作られていることがあります。

今回のケースでは、Craig testも参考にしながら評価を行い、股関節まわりの発達的な偏りと、同年代のお子さんと比べても強い内旋優位が歩行に影響していると考えました。

理学療法士・健康科学修士・発達ケア・アドバイザーの大村颯太が、学童期の内股歩行の一例をもとに、からだ全体のつながりという視点からお伝えします。※変化のあらわれ方には個人差があります。

目次

今回のケースから見えてきたこと

学童期の女の子で、幼少期から内股ぎみの歩き方が気になっていたケースです。歩行をみると、両側の太ももが内側へ寄りやすく、歩幅も狭く、全体として少し歩きづらそうな印象がありました。

こういうとき、見た目の「内股」だけを直そうとすると話が単純になりやすいのですが、今回も股関節の向きだけでなく、歩くときにからだ全体がどう順応しているかまで見た方が整理しやすい状態でした。

股関節の向きと全身の順応が重なっていた背景

今回の評価では、Craig testも参考にしながら股関節まわりを確認し、大腿骨前捻角の発達的な偏りと、股関節が内旋方向へ入りやすい状態が示唆されました。成長の中で少しずつ変化していく可能性はある一方で、同年代のお子さんと比べても内旋優位が強く、歩行時の内股が目立っていました。

さらに、反り腰を含めてからだ全体が内股方向へ順応している印象がありました。股関節の内旋筋群や前方組織の短縮、足首や下腿の支えにくさ、体幹の筋活動の低下も重なっていたため、局所だけでなく全体のつながりとして捉える必要があったケースです。

評価で着目したポイント

今回の評価では、股関節の回旋バランスだけでなく、骨盤や腰椎の反り、体幹の支え方、下腿から足首にかけての使い方も含めて確認しました。歩行を一つの流れとして見たとき、股関節の内旋優位が全身の張力バランスに影響し、歩幅の狭さや内股の強さにつながっていた印象です。

そのため、足先だけを見て対処するより、背骨を含めた全体の動きと、股関節・足首の向きを合わせて整理する方針にしました。

今回行ったアプローチ

約10回の経過で、まずは全身のバランスと背骨の動きを整え、内股方向へ偏っていた張力のバランスを少しずつ整理していきました。そのうえで、股関節の内旋筋群や周囲の軟部組織、前方の硬さにアプローチし、股関節の伸展と外旋が出やすい条件を作っていきました。

同時に、体幹の筋肉が使いにくい状態だったため、床上でも取り組みやすいエクササイズを取り入れ、下腿や足首の使い方も含めて支えを作っていきました。ここで大切にしたのは、きれいな形を急いで作ることではなく、からだ全体が前へ進みやすい条件を整えることでした。

ビフォーアフター(動画と写真で見る変化)

▲ 施術前後の変化(動画)

経過の中で、歩行速度が上がり、歩幅が広がり、以前より歩き方がスムーズになってきました。課題は残るものの、見た目だけでなく、歩く流れそのものが前に進みやすくなってきた印象です。※変化には個人差があり、同じ結果をお約束するものではありません。

日常で意識したいこと

ご家庭では、脚の向きだけを細かく注意し続けるより、体幹を保ちながら股関節を使う感覚を育てることが大切です。床でできる体幹エクササイズや、股関節が後ろへ伸びる感覚を育てる遊びを無理のない範囲で続けていくことが、結果として歩き方の土台づくりにつながります。

また、足首や下腿の使い方も含めて、からだ全体が楽に動ける条件を整えていくことが大切です。その子に合った負荷で、無理なく続けられることを優先していきます。

今後の見通し

内股歩行は、成長の過程の影響も受けやすいテーマです。そのため、年齢とともに見え方が変わっていく可能性はありますが、今の時点で同年代と比べて内旋優位が強い場合は、その背景にある全身の順応もあわせて見ていく必要があります。

今後は、月1回程度で経過を確認しながら、脚の向きそのものだけでなく、歩幅や歩きやすさがどう育っていくかを見守る方針になりました。

OQでご相談いただきたい方へ

歩き方の悩みは、見た目の印象だけで判断すると迷いやすいものです。足先が内を向いて見えていても、背景には股関節の向き、体幹、足首の連動が関わっていることがあります。

お子さんの歩き方が気になる方は、部分だけではなく全体のつながりから一度見直してみると、次に何を整えていけばよいかが整理しやすくなります。

参考文献

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この記事を書いた人

大村颯太
・理学療法士
・健康科学修士
・発達ケア・アドバイザー上級

Sota Omura
・Physiotherapist
・Master of Health Science
・JEFPA Certified Foot Care Advisor
・Developmental Care Advisor

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