パンチの動きがしっくりこない。こういうご相談は、肩だけを見ても説明しきれないことがあります。
今回の方は、京都を旅行中の20代男性。キックボクシングをされていて、右のパンチを出すときに肩の動きがスムーズではない、というお悩みがありました。首や膝の痛みもありましたが、全体としてはとても良い身体能力をお持ちで、感覚もかなり鋭い方でした。
理学療法士・健康科学修士・発達ケア・アドバイザーの大村颯太が、今回の一例をもとにお伝えします。※変化のあらわれ方には個人差があります。
今回のケースから見えてきたこと
今回印象的だったのは、ご本人の身体感覚の細かさです。大きく痛い、動かない、というよりも「右のパンチの肩の抜け方が少し違う」というような、競技をしている方ならではの違和感でした。
実際に見ていくと、肩そのものだけでなく、胸郭の硬さ、股関節の左右差、脊柱の動きの偏りが関係していそうでした。旅行中という環境もあり、自律神経のリズムが少し乱れているような様子もありました。
局所だけでは説明しにくい背景
パンチは、腕を前に出すだけの動きではありません。足で床をとらえ、股関節と骨盤が動き、体幹が回旋し、胸郭と肩甲骨が連動して、最後に腕が出ていきます。
なので、肩に違和感がある場合でも、股関節や背骨、胸郭の状態が関わっていることがあります。今回も、肩だけを細かく触るというより、全身のつながりが自然に戻るように見ていきました。
評価で着目したポイント
評価では、胸郭の動き、背骨のしなやかさ、股関節の左右差、そして右のパンチ動作でどのタイミングに引っかかりが出るかを確認しました。
首や膝の痛みもあったため、痛みのある場所だけを分けて考えるのではなく、「全体としてどこで動きが止まりやすいのか」を見ていくことを大切にしました。
今回行ったアプローチ
まずは、旅行中の疲労や緊張を考慮し、自律神経が落ち着きやすいように全身の状態を整えていきました。
その後、背骨のアライメントや胸郭の動き、股関節の左右差に対してアプローチしました。右のパンチがスムーズに出るように、肩だけで頑張らなくてもよい状態を目指した、という表現が近いかもしれません。
ビフォーアフター(動画と写真で見る変化)
▲ 施術前後の変化(動画)
施術後、右のパンチ動作はスムーズになり、ご本人にも喜んでいただけました。こうした変化は、単に肩の可動域が広がったというより、全身の力の通り道が少し整った結果として見た方が自然だと思います。※変化には個人差があり、同じ結果をお約束するものではありません。
日常で意識したいセルフケア
今回は最後に、脊柱の柔軟性を保つための体操もお伝えしました。競技をされている方ほど、強く鍛える時間は多い一方で、背骨や胸郭をゆっくり動かす時間が少なくなることがあります。
呼吸に合わせて背中を丸める・反らす、胸郭を左右に回す、股関節と体幹を一緒に動かす。こういった基本的な動きが、パンチのしなやかさにつながることもあります。
この変化をどう考えるか
今回のように、もともとの身体能力が高い方でも、旅行中の疲労や環境変化、胸郭や股関節の左右差によって、動きの質が落ちることがあります。
特にアスリートの方は、ほんの少しの違和感がパフォーマンスに影響します。だからこそ、痛い場所だけを見るのではなく、からだ全体の連動を確認することが大切だと感じます。
OQでご相談いただきたい方へ
京都という場所柄、海外から旅行中の方にご相談いただくこともあります。英語はまだ勉強中で、完璧とは言えません。そこは正直にお伝えしています。
ただ、Google翻訳なども使いながら、できるだけ不安なく状態を伝えていただけるように対応しています。旅行中の首・肩・膝の違和感、スポーツ動作の相談などがあれば、ホームページからご予約ください。
参考文献
- Kibler, W. B., Press, J., & Sciascia, A. (2006). The role of core stability in athletic function. Sports Medicine, 36(3), 189–198.
- Sciascia, A., & Cromwell, R. (2012). Kinetic chain rehabilitation: A theoretical framework. Rehabilitation Research and Practice, 2012, 853037.

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