脳卒中後の方を見ていると、麻痺の強さだけでは説明できない「動きにくさ」に出会うことがあります。
痛みがある。転ぶのが怖い。家族に迷惑をかけたくない。そうした気持ちが重なると、立つときも歩くときも身体を固めてしまいます。結果として、姿勢が一方向に傾き、ますます歩きにくく感じることがあります。
今回のケースは、80代の男性です。脳卒中後の左半身の麻痺に加え、大腿骨の骨折後の痛みがあり、歩行時のふらつきと強い恐怖心を抱えておられました。ご自宅ではご家族が介助をしながら生活を支えており、将来の身体機能の低下や介護負担について、ご家族からご相談をいただきました。
口コミには、姿勢の傾きが減ったこと、少しずつ力強く歩けるようになったこと、ご本人が気持ちよく感じていることが書かれていました。短い文章ですが、その背景には、ご本人とご家族が日々感じていた不安と、少しでも現状を保ちたいという思いがあります。
同じようなお悩みがある方へ
脳卒中後遺症の症状は、痛みが出ている場所だけでなく、姿勢・呼吸・歩き方・これまでの身体の使い方が関係していることもあります。
「自分の場合はどこを見たらよいのか知りたい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。

まず、身体が緊張し続ける理由を考える
初回に確認したのは、単純な筋力の強さだけではありません。痛みを避けるためにどのような姿勢になっているのか。立ち上がるときに、どこへ体重をかけているのか。歩く場面で、どの瞬間に不安が強くなるのか。
来院当初は、歩きにくさに加えて、緊張と恐怖心の中で動作をされていました。身体を守ろうとして力が入り、その結果として姿勢の偏りが強くなっていたように見えます。
脳卒中後の動作では、麻痺側の手足だけでなく、体幹や反対側の足、呼吸や全身の緊張も含めて見ていく必要があります。歩行は脚だけの運動ではなく、身体全体で重心を移していく動作だからです。
リラックスできる状態から、立つ・歩くへ
今回は、年齢や骨折後の痛みを考慮し、強い刺激や大きな負荷を避けました。オステオパシーの施術では、全身の緊張が少しずつ抜けるように、姿勢のアライメントや身体の動きを丁寧に確認しました。
そのうえで、起立練習と歩行練習、低負荷の筋力トレーニングを組み合わせています。長い距離を歩くことや、難しい運動をたくさん行うことが目的ではありません。その日の状態で安全にできる範囲を見極め、立位を保つ、足へ体重を移す、短い距離を歩くといった動作を積み重ねました。
ご家族には、家でのケアについても、頑張らせすぎないこと、痛みや表情の変化を見ながら行うことなど、無理のない範囲で取り組めるようにお伝えしました。
「維持できている」ことにも意味がある
経過の中で、姿勢の傾きが以前より減り、歩くことへの不安感も軽くなっていきました。現在は月に1回のメンテナンスで通われています。
ご家族は、月に1回でも自費リハビリを受けることで、現在の状態を維持できていることを喜んでおられます。脳卒中後のケアでは、何かが大きく変わることだけが成果ではありません。転ばずに過ごせる日が続くこと、動くことへの恐怖が少し和らぐこと、ご家族が介助の仕方に見通しを持てること。そうした変化も、その方の生活を支える大切な一歩だと思います。
もちろん、経過や反応には個人差があります。痛みや麻痺の状態によっては、医療機関での確認が必要になる場合もあります。身体の状態を見ながら、無理のない目標を一緒に考えていくことが大切です。

ご本人とご家族が、少しでも穏やかに過ごせるように
脳卒中後の歩行や姿勢のことでお困りのご家族にとって、身体をどう支えればよいか分からない時間は、とても不安なものだと思います。
当院では、病院勤務時代から高齢の方や脳卒中後のリハビリテーションに携わってきたスタッフが、施術と低負荷の運動指導を行っています。歩きを少しでも保ちたい、姿勢の傾きを抑えたい、転倒への不安を減らしたい。そうしたご希望があれば、ご本人の体調とご家族の生活状況を伺いながら、できることを整理していきます。
大きな負荷をかけるのではなく、安心して続けられることから。ご家族だけで抱え込まず、気になることがあればご相談ください。
よくある質問
脳卒中後の歩きにくさは、麻痺のある足だけを見ますか?
麻痺のある足だけでなく、体幹、骨盤、反対側の足、姿勢、呼吸、全身の緊張なども確認します。歩行は脚だけではなく、身体全体で重心を移す動作だからです。
大きな負荷をかける運動が難しくても相談できますか?
はい。年齢や痛み、その日の体調を考慮しながら、立つ、体重を移す、短い距離を歩くといった低負荷の動作から進めることがあります。
脳卒中後はどのくらいの頻度で通えばよいですか?
状態や生活環境によって変わります。ご本人の反応やご家族の負担も確認しながら、無理なく続けられる頻度を一緒に考えていきます。

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