こんにちは、副院長の大村颯太です。脳卒中後の自費リハビリを専門にしていますが、歩行や下肢の状態全般を診ることも多いです。
連休や帰省のシーズンになると、「ドライブ後から足がだるい」「長距離を運転したら足がむくんだ」という相談が増えます。
今回は、長距離ドライブと脚の不調について。「エコノミークラス症候群」という言葉は聞いたことがある方も多いと思いますが、飛行機だけの話ではありません。
ドライブで脚に何が起きているか
車を運転しているとき、足はアクセルとブレーキを踏む以外、ほとんど動いていません。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれることがあります。歩くたびに収縮・弛緩を繰り返し、下肢の血液を心臓へ押し上げるポンプとして働いています。ところが長時間座ったまま足を動かさないでいると、このポンプが止まった状態になります。
血液の流れが滞ると、足はむくみ、だるくなります。そして時間が長くなるほど、血栓(血の固まり)ができるリスクが上がります。これがいわゆる「エコノミークラス症候群」——正式には深部静脈血栓症(DVT)と肺塞栓症——の背景です。
「エコノミークラス症候群」は車でも起きる
エコノミークラス症候群は飛行機のイメージが強いですが、長時間の車移動でも同じことが起きます。特に高速道路を使った長距離ドライブでは、数時間にわたって同じ姿勢が続くことがあります。
注意が必要なのは、DVTが静かに進むことです。「ただのむくみ」と思っていたものが、実は血栓だったというケースもあります。片脚だけが強くむくむ、熱感がある、押すと痛い、といったサインがあれば、早めに医療機関で確認することをおすすめします。
ドライブ後に出やすい症状
DVTほど深刻でなくても、長距離ドライブ後には次のような不調が出やすいです。
- 足全体のだるさ・重さ
- 足首やふくらはぎのむくみ
- 腰や臀部の固まり・痛み
- 翌朝の膝や股関節の動かしにくさ
- 長時間座った後に立ち上がると足が痺れる
これらの多くは、血流の滞りと、長時間同じ姿勢を保ったことによる筋・関節の固まりが組み合わさって起きています。
姿勢と「股関節の角度」が鍵になる
ドライブ中の脚のトラブルを考えるとき、「どれだけ動かなかったか」だけでなく、「どんな姿勢で座っていたか」も重要です。
股関節を深く曲げた状態(前傾した深い座り方)が続くと、鼠径部を通る血管や神経が圧迫されやすくなります。シートの高さや前後位置が合っていないと、知らないうちに脚への血流が制限されているケースもあります。
また、腰が丸まった姿勢で長時間過ごすと、骨盤や腰椎が固まります。これが下肢への神経の通りに影響することがあり、「ドライブ後に足が痺れやすい」「翌朝から腰が固い」という症状の背景になることがあります。
ドライブ前後にできること
ドライブ中
- 1〜2時間ごとにSAや道の駅で降りて、5〜10分歩く
- 信号待ちや渋滞中に足首を上下に動かす(かかとを上げ下げするだけでもOK)
- 水分をこまめにとる(脱水は血栓のリスクを高める)
- シートを調整して、股関節が深く曲がりすぎないようにする
ドライブ後
- まず歩く。降りてすぐ数分歩くだけで血流が戻りやすくなる
- 足首をぐるぐる回す、ふくらはぎを軽くほぐす
- 足を少し高くして休む(クッションなどで10〜15cm程度)
- むくみが強い場合は、弾性ストッキングの使用も選択肢
繰り返す人は、足の状態を見直すタイミング
長距離ドライブのたびに足がひどくむくむ、翌日まで不調が続くという方は、もともとの下肢の血流や筋肉の状態に課題がある可能性があります。
下肢の静脈の問題(下肢静脈瘤など)がある場合は医療機関で相談してください。一方、姿勢や筋肉の使い方、関節の動きが関係している場合は、そちらからアプローチできることもあります。
「仕事でよく長距離を運転する」「帰省のたびに足がつらい」という方は、一度足の状態を整理してみることをおすすめします。
よくある質問
長距離ドライブ後に足がむくむのは危険ですか?
多くの場合は一時的な血流の滞りによるものですが、片脚だけが強くむくむ・熱感がある・痛みが続くといった場合は深部静脈血栓症(DVT)の可能性があります。気になる場合は医療機関に相談してください。
エコノミークラス症候群は車でも起きますか?
はい。飛行機に限らず、長時間同じ姿勢で座り続けることで起きます。特に足首を動かさない状態が続くと、ふくらはぎのポンプ機能が低下し血栓ができやすくなります。
ドライブ中にできる予防策はありますか?
1〜2時間ごとにSAなどで降りて歩く、ドライブ中も足首を上下に動かす、水分をこまめにとる、といったことが有効です。また、足の位置・股関節の角度など、姿勢自体を見直すことも大切です。
ドライブ後の足のだるさに、オステオパシーは関係ありますか?
長時間の同一姿勢は骨盤や腰椎の固まりを引き起こし、下肢への神経・血管の通りに影響することがあります。足のだるさが続く場合、姿勢や動き方の見直しという視点でアプローチできることがあります。
まとめ
長距離ドライブと脚の不調は、切り離せない関係にあります。エコノミークラス症候群は飛行機だけの話ではなく、車での移動でも注意が必要です。
基本は「動かすこと」と「水分をとること」。それだけでかなり防げます。
繰り返し不調が出る方や、もともと下肢に問題がある方は、一度足の状態を整理してみてください。

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