泣きやまない赤ちゃん——コリック(乳児疝痛)へのオステオパシー

泣きやまない赤ちゃん——コリック(乳児疝痛)へのオステオパシー


こんな赤ちゃんをお連れいただいています

  • 毎日決まった時間帯(多くは夕方〜夜)に激しく泣く
  • 泣いているとき、顔を真っ赤にして体を硬くする
  • 膝をお腹に引き寄せるように丸まる
  • 授乳後にげっぷがうまく出ない・お腹が張っている感じがする
  • 授乳中もそわそわして落ち着かない
  • 何をしても泣きやまない時間が出てきた

✍️ 執筆者

坂田雄亮(Yusuke Sakata)
イギリス・ウェールズ大学スウォンジー校(Swansea University)オステオパシー学士号(BSc(Ost))取得。ベルギー進化医学系オステオパシー研究所(EVOST — Evolutionary Medicine within the Osteopathic Field)修了(アジア唯一の修了者)。M.I.C.O.(Member of the Institute of Classical Osteopathy, England)。京都オステオパシーセンターOQ院長・OLL株式会社代表取締役。2007年OQ開業、臨床経験25年以上。「何をやっても泣きやまない」に疲れきっている両親と、長年向き合ってきました。コリックは両親のせいではありません。赤ちゃんの体が外の世界に慣れる途中にある——その過程を支えるのが、OQの役割です。

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コリック(乳児疝痛)とは

生後数週から3ヶ月頃の赤ちゃんが、理由のわからない長時間泣き続ける状態を「コリック」と呼びます。医学的には「健康な赤ちゃんが、1日3時間以上・週3日以上・3週間以上泣く」と定義されますが、定義に当てはまるかどうかより、「何をしても泣きやまない」というご両親の苦しみが問題の本質です。

コリックは通常、生後3〜4ヶ月で自然に落ち着きます。しかしその数ヶ月が「永遠」に感じるほどつらいことも知っています。


コリックの原因は一つではない

「お腹にガスがたまっている」「消化が未熟」などと言われることが多いですが、実際には複数の要因が重なっていることがほとんどです。

  • 迷走神経の機能:迷走神経は消化管の運動を制御する主要な神経です。頭蓋底(後頭骨と側頭骨の間)を通る迷走神経に微妙なストレスがかかっていると、消化管の機能に影響が出ることがあります
  • 横隔膜の緊張:横隔膜は呼吸だけでなく、胃と食道の境界を安定させる役割もあります。横隔膜の緊張は、逆流や不快感の背景になりえます
  • 消化管の未熟性:腸の自律神経支配がまだ十分に成熟しておらず、蠕動運動が不規則になりやすい
  • 自律神経系のバランス:新生児は交感神経優位の状態から、副交感神経とのバランスへ移行する途上にあります。この移行がうまくいかないと、過覚醒状態が続きやすくなります

Carreiro博士は著書(Pediatric Manual Medicine, Ch.2)の中で、コリックの背景には後頭骨・側頭骨間の圧縮・迷走神経への機械的ストレスが関係することを臨床上観察できると述べています。


OQのアプローチ

お腹だけを見ない

コリックの赤ちゃんに対して、OQではお腹だけを見るのではなく、体全体を評価します。頭蓋底・横隔膜・骨盤・付属筋膜の緊張パターンを一つの絵として読み取ります。

  • 頭蓋底の評価:後頭骨と側頭骨の関係、迷走神経の通り道に圧縮がないかを確認します
  • 横隔膜の評価:呼吸パターンと横隔膜の緊張を触診します
  • 骨盤と仙骨の評価:骨盤の歪みは、その上にある内臓の位置関係にも影響します
  • 全身の筋膜パターン:体全体の緊張パターンを余すことなく読み取ります

穏やかな手技

すべてごく穏やかな手技で行います。赤ちゃんを泣かせないように、お母さんの腕の中や授乳中に施術することもあります。

  • 後頭骨の減圧(迷走神経の通り道を開放する)
  • 横隔膜の穏やかなリリース
  • 腹部筋膜の緊張の解放
  • 仙骨の調整

ご家庭でのサポート

  • コリックホールド:赤ちゃんをうつ伏せにして前腕に乗せ、手でお腹を軽くサポートする抱き方
  • 穏やかな腹部マッサージ:時計回りにお腹をなでる(蠕動運動の方向に沿って)
  • 刺激の調整:コリックの時間帯の前に、香や光など環境の刺激を減らす

ご両親へ
コリックは、ご両親のせいではありません。「何かが間違っている」のではなく、赤ちゃんの体がまだ外の世界に慣れる途中なのです。コリックは通常、生後3〜4ヶ月で自然に落ち着きます。でも、その数ヶ月が「永遠」に感じるほどつらいことも知っています。一人で抱え込まず、助けを求めてください。


OQでできること・できないこと

できること

  • 頭蓋底・横隔膜・骨盤の緊張パターンを評価し、動きの回復を促す環境を整えること
  • 小児科・助産師と並行して動くこと

できないこと

  • 「コリックを止める」ことを目標にはしていません(体が自分で消化の調和を取り戻せる条件を整えることがゴールです)
  • コリックの完全解消を保証することはできません
  • 同じ症状に見えても、お一人お一人の赤ちゃんの体は異なります
  • 器質的疾患による泣き(鼠径ヘルニア・鎖肛等)は医療対応が必要です——レッドフラッグは必ず小児科へ

小児科への受診が必要なサイン
次の場合はまず小児科へお赤いください。泣きに可能性のある器質的疾患(鼠径ヘルニア・血便・鎖肛等)を除外する必要があります。
– 泣きの調子が頻度が激しく増した
– 強くあやしても泣き止まない
– 嘔吐や血便が出る
– ぐったりして活気がないように見える


よくあるご質問

Q. コリックは何ヶ月になれば落ち着きますか?

大多数は生後3〜4ヶ月で自然に落ち着きます。これは自律神経系の成熟と重なる時期と考えられています。

Q. コリックは小児科で診てもらったほうがいいですか?

はい。疾患由来の泣き(鼠径ヘルニア・血便等)を除外するために、まず小児科で診察を受けることをお勧めします。OQは小児科・助産師と並行して利用いただく場所です。

Q. 何回くらいセッションが必要ですか?

赤ちゃんの体は大人より変化への反応が早いため、多くの場合は数回で変化を感じ始めます。ただし、回数や間隔はお子さんごとに異なります。

Q. 授乳中でも施術できますか?

はい。お母さんの腕の中、授乳中、眠っているときなど、赤ちゃんがいちばん落ち着いている状態で施術できます。無理に動かす必要はありません。

Q. 母乳ではなくミルクを変えたり、除去食を試していますが効果がありません。OQに来てもいいですか?

はい。食事面の調整だけで改善しない場合、構造的な評価が別の視点を加えることがあります。完全に別のアプローチではなく、並行して利用していただけます。


📖 この記事と「体は賢い」冊子のつながり

  • 第1章 体は賢い:「消化の調和を取り戻せる力は、赤ちゃん自身の中にある」——OQはその力を引き出す環境を整えます
  • 第2章 体はつながっている:頭蓋底・迷走神経・横隔膜・内臓の一体性——コリックが「お腹だけの問題」でない理由
  • 第4章 頭のはなし:迷走神経・後頭骨・自律神経の「降りる場所」——コリックの構造的背景と重なります

👉 冊子「体は賢い」(WP公開時URL:o-q.jp/booklet/


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末尾注記

※本ページは、OQの臨床で出会った複数のお子さん・保護者の経験を統合して構成した複合症例(composite case study)を含んでいます。特定の個人を指すものではなく、同じようなパターンで悩んでいる方の参考になるよう、教育目的でご紹介しています。お子さんの身体の反応は人それぞれ異なり、同様の経過や結果を保証するものではありません。

器質的疾患による泣きが心配な場合は、まず小児科にご相談ください。OQは医療機関の代替ではなく、並行してご利用いただく場所です。