鎖骨骨折は、スポーツ中の肩からの落下・自転車事故・交通外傷で生じる骨折で、若年から中年男性のスポーツ系受傷が多く、子供にもよく見られます。鎖骨は上肢と体幹をつなぐ唯一の骨で、骨折部位は中央1/3骨折(約80%)が最も多く、外側1/3・内側1/3骨折もあります。転位が大きい・粉砕骨折・短縮骨折・皮膚穿孔リスクなどの場合に、観血的整復固定術(ORIF)が選択されます。
- 保存療法(8字包帯・クラビクルバンド) — 多くの症例
- 観血的整復固定術(ORIF) — プレート・スクリュー・髄内釘
- 術後早期からの可動域訓練(振り子運動など)
- 段階的な肩関節可動域・筋力訓練
- 偽関節(骨癒合不全)の経過観察
- 抜釘の判断(部位・年齢・症状による)
- スポーツ・自転車・運転への段階的復帰
鎖骨は短いながらもS字状にカーブした特殊な形状の骨で、胸骨・肩甲骨をつないで上肢の動きの軸を作っています。長さやカーブが術後に変わると、肩甲骨の位置・肩関節の可動域・首や背中の負担に長期的な影響が出ることがあります。退院後・保険リハ卒業後も、肩こり・姿勢の崩れ・スポーツ動作の質の改善には、長期的な視点でのリハビリが必要です。
術後の目標は「腕が動くこと」だけではなく、「安心して肩を使えること」です。鎖骨を固定された後は、「動かして大丈夫か」「力を入れて大丈夫か」という不安が動作を制限します。これを解きほぐすことが、本来の動きへの最大のリスク要因の一つです。
鎖骨骨折術後は、鎖骨そのものの可動性回復に加えて、肩甲骨・肩関節・胸郭・頸部・反対側の肩の動きが連動して低下していることが多いです。鎖骨は上肢と体幹をつなぐ唯一の骨のため、その動きが制限されると、肩甲骨が背中に貼り付いた状態になり、巻き肩・猫背・肩こり・首こりが二次的に発生しやすくなります。当院では、鎖骨周囲の硬さと、肩甲骨・胸郭・頸部・体幹を含む上半身全体の動きの再教育を組み合わせて、ご本人とご家族が安心できる動作レベルを目指します。
また、術後に残る姿勢の崩れ・肩の引っかかり感は、骨折部位そのものではなく、胸鎖関節・肩鎖関節の動きの不全・前胸部筋群の硬さ・肩甲骨周囲筋の機能低下が背景のことが多いです。整形外科的な評価と並行して、上肢の機能と姿勢の回復を支える役割を担います。
なお、画像診断・抜釘判断・偽関節の評価は医療機関の専門領域です。当院では主治医のリハビリ計画と並行し、生活動作の質と再損傷予防を支える役割を担います。
胸鎖関節・肩鎖関節の動きの回復
鎖骨は胸骨側(胸鎖関節)と肩甲骨側(肩鎖関節)の2つの関節を持ち、それぞれが連動して肩甲骨の動きを支えます。術後はこれらの関節が硬くなりやすく、それが肩の挙上制限や姿勢の崩れにつながります。一つひとつの関節の動きを丁寧に取り戻していきます。
肩甲骨・胸郭・頸部の連動の再教育
鎖骨をかばうことで、肩甲骨・胸郭・首・反対側の肩に出ている捻れや筋緊張を整え、上肢の感覚を再教育します。前鋸筋・僧帽筋・菱形筋・肩甲挙筋・大胸筋など、肩甲帯を支える筋群の機能を段階的に再活性化します。
姿勢・呼吸の再構築
鎖骨骨折後は、巻き肩・猫背・浅い呼吸になりやすく、これが肩こり・首こり・疲れやすさの原因になります。胸を開く・肩甲骨を寄せる・深い呼吸を取り戻す動作の再教育を行います。整形外科的な評価と並行して、姿勢の質を整えます。
スポーツ・日常動作への段階的復帰
自転車のハンドル操作・運転・荷物を持つ・投球など、鎖骨に負荷がかかる動作への復帰を段階的にサポートします。スポーツ復帰の場合は、両肩のバランス・体幹機能・反対側のリスクを整え、復帰後も継続的にサポートします。
段階的に動作の質を整える
退院後・保険リハ卒業後は、おおよそ1週間に1回のペースをお勧めしています。動作が安定してきたら、徐々に間隔を延ばしていきます。
無理のない範囲で続けられる頻度を、ご本人・ご家族・主治医のリハビリ計画と相談しながら設計します。
姿勢維持と肩こり・首こり予防
状態が安定してきたら、2〜4週に1度のメンテナンスに切り替えることをお勧めしています。
鎖骨骨折は、術後数年経っても姿勢の崩れ・肩こり・首こりとして影響が残ることがあります。両肩・上肢・胸郭・体幹のバランスを継続的に整え、姿勢と肩の機能を支える身体づくりをサポートします。
動き続けることが、回復を支える
受傷後は症状に応じて、可能な範囲で動き続けることが、生活の質を最も大きく左右します。
鎖骨は小さい骨ですが、上肢と体幹をつなぐ唯一の骨として、姿勢と肩の動きの土台を作っています。術後の数か月の取り組みが、半年後・1年後の肩の使いやすさ・姿勢の質を大きく決めます。肩こりや姿勢の崩れを抱えたまま動き続けると、反対側の肩や首・腰への負担が積み重なることもあります。ご家族の協力も大きな力になります。
ぜひ、ご家族と一緒にご来院ください。動きやすさが戻ると、外出する楽しみも戻ってきます。
※ 保有資格として、理学療法士を取得していますが、当院では整体師として活動しています。
※ 当院で提供するサービスは施術や運動指導であり、医療機関が提供するリハビリとは異なります。


