妊娠中の体は、驚くほどのスピードで変化しています。
お腹が大きくなるにつれて重心は前に移動し、腰は反り、骨盤は広がり、内臓は押し上げられる。ホルモンの影響で靭帯は緩み、関節の安定性が変わる。これだけの変化が数ヶ月の間に起きているのに、体は文句も言わずに適応し続けています。
でも、適応にも限界はあります。腰痛、骨盤の痛み、恥骨の違和感、息苦しさ、脚のむくみ——こうした不調は、体が「もう少し助けが必要」と伝えているサインかもしれません。
オステオパシーは、妊娠中の体の変化に寄り添いながら、体が本来持っている適応力をサポートする手技療法です。
妊娠中、体の中で何が起きているか

妊娠中の体の変化は、見た目だけではありません。ホルモン、構造、循環——あらゆるレベルで変化が同時に進行しています。
リラキシンというホルモン
妊娠中に分泌されるリラキシン(Relaxin)は、靭帯や関節を緩めるホルモンです。出産時に骨盤が開くために必要な変化ですが、同時に仙腸関節や恥骨結合の不安定性を生みます。「体がグラグラする」「腰が抜けそう」という感覚は、このホルモンの影響が大きいです。
重心の移動と姿勢の変化
お腹が大きくなると重心が前に移動し、バランスを取るために腰の反り(腰椎前弯)が強くなります。この代償が、腰痛や背中の張りの大きな原因です。さらに上半身では肋骨が広がり、横隔膜が押し上げられて呼吸が浅くなります。
内臓と循環の変化
子宮が大きくなるにつれて、腸、胃、膀胱が圧迫されます。便秘、胸やけ、頻尿——こうした症状の多くは、内臓の物理的な圧迫とホルモン(プロゲステロン)による消化管の弛緩が原因です。血液量は約50%増加し、心臓への負担も大きくなります。
こんな症状でお悩みではありませんか?
- 腰痛・背中の痛み
- 骨盤の痛み・恥骨の違和感
- 坐骨神経痛
- 脚のむくみ・静脈瘤
- 息苦しさ・肋骨の圧迫感
- 便秘・胸やけ
- 手のしびれ(手根管症候群)
- 頭痛・めまい
- 逆子(骨盤位)と言われた
- 睡眠がうまくとれない
- 出産に向けて体を整えておきたい
オステオパシーにできること
オステオパシーは、妊娠中の不調を「症状」としてだけ見るのではなく、体全体の適応プロセスの中で何が制限されているかを探します。
骨盤・仙腸関節のバランス調整
リラキシンで緩んだ関節の中で、左右のバランスが崩れていたり、一部の関節だけに負担が集中していることがあります。骨盤全体のバランスを整えることで、腰痛や恥骨の痛みを軽減し、赤ちゃんが降りてくるスペースを確保します。
横隔膜と呼吸のサポート
子宮に押し上げられた横隔膜の動きを改善し、肋骨の可動性を確保します。呼吸が楽になるだけでなく、横隔膜の動きは内臓の循環にも直結しています。
内臓へのアプローチ
圧迫された腸や胃の位置・動きの制限を穏やかに解放します。便秘や胸やけの緩和だけでなく、内臓の循環改善は赤ちゃんへの栄養供給にもつながります。
頭蓋と自律神経の調整
妊娠中はホルモンの急激な変化に加え、不安やストレスが自律神経に影響します。頭蓋オステオパシーを通じて、神経系のバランスを整え、体全体のリラクゼーションをサポートします。
出産への体の準備
妊娠後期には、骨盤の可動性、骨盤底筋群の柔軟性、赤ちゃんが降りてくるための体の「道」を整えることに重点を置きます。体が自ら出産に向けて準備を進めるプロセスを、オステオパシーがサポートします。
三半期別のケアの考え方
妊娠初期(〜14週)
つわりや倦怠感がつらい時期。内臓と自律神経へのアプローチが中心です。体が妊娠に適応するための環境を整えます。
妊娠中期(15〜27週)
体が最も安定している時期。姿勢の変化に伴う腰痛や背中の張りへの対応、骨盤のバランス調整を行います。
妊娠後期(28週〜)
体への物理的負荷が最大になる時期。骨盤・横隔膜・骨盤底のケアに重点を置き、出産に向けた体の準備をサポートします。逆子(骨盤位)への対応もこの時期です。
施術について
妊婦さんへの施術は、すべてソフトな手技で行います。「ボキボキ」するような手技は使いません。
オステオパシーの産科分野における世界的権威であるサンドラー博士(Stephen Sandler D.O., Ph.D.・ロンドン大学)は、45年以上の臨床と研究の中で「適切な手技を用いれば、オステオパシーが母体や胎児に悪影響を及ぼすというエビデンスはない」と述べています。OQでは、この知見に基づき、妊娠の時期に応じた安全な施術を行います。
横向きやあおむけ(上体を起こした状態)など、お腹に負担がかからない姿勢で施術します。妊娠週数や体調に合わせて、その日の体に必要なアプローチを選びます。
担当:坂田雄亮(院長・1階)
英国スウォンジー大学でオステオパシー学士(BSc Ost)取得。小児・妊婦のオステオパシーを専門とし、18年の臨床経験があります。
料金:
60分枠 11,000円(施術時間約40分)+初診料3,300円
託児サービスあり(上のお子さま連れでも安心です)
大切にしていること
妊娠は病気ではありません。体には、妊娠・出産を乗り越える力がもともと備わっています。
オステオパシーの役割は、その力が発揮されるのを妨げている「体の制限」を取り除くこと。外から何かを加えるのではなく、体の内側にある回復力と適応力を信頼して、その環境を整えるだけです。
オステオパシーの創始者A.T.スティルはこう述べています——「健康を見つけることが医師の仕事である。病気は誰にでも見つけられる(To find health should be the object of the doctor. Anyone can find disease.)」。妊娠は、この言葉が最も深く響く時間かもしれません。体の中ですでに動いている「健康」の力を信頼し、その力が十全に発揮されるよう手助けすること——それがOQの妊婦ケアです。
産婦人科や助産院との併用をおすすめします。オステオパシーは医療に代わるものではなく、体の環境を整えるという視点から、今受けているケアに一つの軸を加えるものです。
よくある質問
Q. 妊娠何週から受けられますか?
妊娠初期から受けられます。つわりがつらい時期にも、内臓や自律神経へのソフトなアプローチで楽になる方が多いです。体調に合わせて施術内容を調整しますので、安心してご相談ください。
Q. 逆子にも対応していますか?
はい。骨盤や子宮周囲の組織の緊張を解放することで、赤ちゃんが自然に回りやすい環境を整えます。「赤ちゃんを回す」のではなく、「回れる環境を作る」というアプローチです。妊娠28〜34週頃が最も効果的です。
Q. 産後のケアもお願いできますか?
もちろんです。産後は骨盤の回復、腹直筋離開、帝王切開の瘢痕ケア、授乳に伴う肩・背中の痛みなど、体のケアが必要な時期です。赤ちゃんと一緒に来ていただけます。
ご予約・お問い合わせ
妊娠中の体の不調でお悩みなら、お気軽にご相談ください。
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京都オステオパシーセンターOQ
〒604-8366 京都府京都市中京区七軒町466
阪急大宮駅 徒歩2分 / 受付 9:00〜22:30(完全予約制)
託児サービスあり
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