はじめにお読みください。当院ではアルコール依存症そのものを治療することはできません。診断・薬物療法(抗酒剤など)・専門治療は、必ず精神科・心療内科・依存症専門外来などの医療機関、断酒会・AAなどの自助グループで受けてください。当院の施術は、専門治療を受けて断酒を継続している方の身体症状(自律神経の不安定・睡眠障害・末梢神経障害・倦怠感など)をケアする補助的な役割を担います。
アルコール依存症は、「意志が弱いから」ではなく、脳の報酬系・前頭前野の働きが変化する疾患です。一度依存形成が進むと、本人の努力だけでコントロールするのは極めて難しくなります。だからこそ、専門治療と断酒の継続が回復の中核になります。
医療機関での治療の柱は、解毒(離脱期管理)・抗酒剤(シアナマイド・ノックビン・レグテクト等)・心理社会的治療(認知行動療法・動機付け面接)・自助グループ参加(断酒会・AA)です。断酒治療を受けて、断酒を継続できている期間が長くなるほど、再飲酒のリスクは下がることが知られています。
断酒して数日〜数週間は急性離脱期と呼ばれ、振戦せん妄(意識混濁・幻覚・激しい震え)・けいれん発作などの命に関わる症状が出ることがあります。この時期は必ず専門医療機関で管理を受ける必要があります。
急性期を越えても、自律神経の不安定・不眠・倦怠感・手の震え・冷え・末梢神経のしびれ・栄養状態の悪化といった身体症状が長く残ることがあります。これらは「遷延性離脱症状(PAWS)」と呼ばれ、断酒を継続するうえで大きなストレスとなり、再飲酒の引き金になることもあります。
なお、診断・抗酒剤の処方・離脱期管理は医療機関の専門領域です。当院では、主治医・自助グループでの回復活動と並行して、身体症状の軽減と、断酒を続けやすい身体の状態を支える役割を担います。
○ 当院でできること
- 断酒継続中の方の遷延性離脱症状(PAWS)に伴う身体症状(自律神経の不安定・不眠・手の震え・倦怠感・冷えなど)のケア
- アルコール性末梢神経障害(手足のしびれ・歩行不安定)に対する身体機能維持の支援
- 長年の飲酒で固まった身体(肩こり・腰痛・呼吸の浅さ)のケア
- 断酒後の体重変化・代謝変動に伴う身体の重だるさのケア
- 定期的な身体メンテナンスで心の余裕を保ち、再飲酒のリスクを下げる
× 当院でできないこと
- アルコール依存症そのものの診断・治療・抗酒剤の調整
- 急性離脱期(断酒直後72時間〜数週間)の管理(振戦せん妄・けいれん発作のリスクがある時期)
- カウンセリング・認知行動療法・動機付け面接(専門の心理職・精神科医・依存症専門医の領域です)
- 自助グループ(断酒会・AA)の代替(回復には人とのつながりが不可欠です)
- 診断書の発行・休職や復職の判断
- 当院は施術や運動指導を行う場であり、医療機関が提供するリハビリや精神医療とは異なります
※ 当院での施術は、主治医の治療や自助グループ通いを中断する理由にはなりません。抗酒剤は自己判断で減らしたり止めたりせず、必ず主治医にご相談ください。
長年お酒と付き合ってきた身体は、慢性的な脱水・栄養の偏り・自律神経のアンバランス・睡眠の浅さ・運動量の低下を抱えています。断酒を始めると、身体が「お酒のない状態」を学び直す数ヶ月〜数年が始まります。この期間、自律神経や睡眠、消化器、皮膚、筋肉の状態は大きく揺れ動きます。
遷延性離脱症状(PAWS)の中でも、不眠・自律神経の不安定・不安感・倦怠感・冷えは本人にとって辛さが続きやすい身体症状です。これらが続いていると、「お酒を飲めば一瞬楽になる」という記憶が再飲酒の引き金になります。身体側のしんどさを少しでも減らすことが、断酒継続の身体的な土台になります。
また、アルコール性末梢神経障害でしびれや歩行不安定がある方は、栄養状態(特にビタミンB群)の改善と並行して、身体の使い方の再教育が必要なことが多いです。当院では、医療機関で診断・治療を受けている前提で身体ケアを担います。
自律神経の安定化と睡眠の質
断酒後に多い交感神経の過剰な緊張・浅い呼吸・寝つきの悪さに対して、頚椎・胸郭・横隔膜・腹部の緊張を丁寧にゆるめます。お酒なしで眠るリズムを身体が思い出せるよう、朝の光・カフェイン量・寝る前の身体の整え方もあわせてお伝えします。
肩・首・腰の慢性的な張りのケア
長年の飲酒で姿勢が崩れ、運動量が落ちていた方は、肩こり・腰痛・首の張りが慢性化していることが多いです。強い圧をかけずに、少しずつ身体の柔らかさを取り戻す方向で進めます。「お酒で紛らわしていた身体の不調」が表面化することもありますが、それは回復の過程です。
末梢神経障害(しびれ)・歩行のケア
アルコール性末梢神経障害でしびれや歩きにくさがある方には、足部・下肢の循環、感覚の入力、歩行戦略の整え方に手を入れます。栄養治療(ビタミンB1・B12)や運動療法は医療機関の領域ですが、「使える身体を維持する」サポートは当院の役割です。転倒予防も重要なテーマです。
体重変化・むくみへのアプローチ
断酒後は食欲が戻りすぎて体重増加する方、逆に食欲が安定せずむくみが続く方など、体重・体型の変動が起こります。「やせなければ」というプレッシャーをかけず、循環・自律神経・呼吸の質を整えることで、身体が自然なバランスに戻る方向を目指します。
以下の状態は、当院ではなく精神科・心療内科・依存症専門外来や救急医療の領域です。当院での施術は、状態が落ち着いてからのご利用をお願いしています。
- 急性離脱期(断酒後72時間〜数週間) → 振戦せん妄・けいれん発作のリスクがあるため必ず医療機関の管理下で
- 意識混濁・幻覚・激しい震え・発汗(振戦せん妄を疑う症状) → 救急医療
- 意識障害・眼球運動異常・歩行のふらつき(ウェルニッケ脳症を疑う症状) → 救急医療
- 黄疸・腹水・吐血(重度の肝機能障害) → 内科を受診
- 希死念慮(死にたいという気持ち)が続く → 主治医、または「いのちの電話」「よりそいホットライン」等の相談先へ
- 断酒できていない・飲酒中 → まずは依存症専門外来・断酒会・AAでの専門治療を
- 主治医や自助グループとつながっていない → まずは医療・自助グループでの治療開始を
体調と相談しながら無理のないペースで
断酒継続が安定している方は、2〜3週間に1回を目安にしています。遷延性離脱症状(PAWS)が強い時期は、来られる日に来る形で構いません。当日のキャンセルや変更も気兼ねなくご連絡ください。体調不良ややむを得ない理由でのキャンセルは、料金を頂戴していません。
主治医の治療・自助グループの活動と並行しながら、ご本人が続けられるリズムを一緒に探していきます。
断酒継続期の身体メンテナンス
断酒が安定してきた方は、月1回程度のメンテナンスに切り替える方が多いです。季節の変わり目・大きなストレス・睡眠不足・身体の不調をきっかけに、再飲酒のリスクが上がることが知られています。定期的なケアで身体の変化に早く気づき、再飲酒の引き金を減らすことを目指します。
気分の落ち込みや身体症状の悪化が続く時、断酒のモチベーションが揺らぐ時は、必ず主治医・自助グループにご相談ください。
断酒という選択を、身体の側から支えます
断酒は、本人にとっても、ご家族にとっても、長く続く道のりです。身体のしんどさ(不眠・自律神経の不安定・しびれ・倦怠感)が続いていると、断酒を維持するエネルギーがすり減ってしまいます。身体の側からのサポートが、回復の土台になることがあります。
当院では、断酒という選択そのものを尊重します。「やめられない自分」を責める必要はありません。体調不良ややむを得ない理由でのキャンセルは料金を頂戴していませんので、その日の体調を最優先にしてください。ご家族と一緒のご来院も歓迎しています。
※ 保有資格として、理学療法士を取得していますが、当院では整体師として活動しています。
※ 当院で提供するサービスは施術や運動指導であり、医療機関が提供するリハビリや精神医療とは異なります。
※ 希死念慮が強い時、再飲酒の衝動が強い時は、主治医・自助グループ・「いのちの電話」(0120-783-556)等の相談窓口を優先してください。


