橈骨遠位端骨折は、手をついて転倒したときに最も起こりやすい骨折で、高齢女性に多いことが知られています。骨粗しょう症が背景にあることが多く、反対側や別の部位の骨折リスクも高まります。ずれが大きい場合や関節面を含む場合は、掌側ロッキングプレート(ボルカープレート)固定術が選択されます。
- Colles骨折(背側転位)・Smith骨折(掌側転位)
- 関節内骨折・関節外骨折
- 掌側ロッキングプレート固定術(主流)
- ピンニング・創外固定(症例による)
- 術後早期からの手指・手関節の可動域訓練
- 段階的な握力訓練・日常動作復帰
- 抜釘の判断(部位・年齢・症状による)
手関節は背屈・掌屈・橈屈・尺屈・回内・回外の6方向の動きが組み合わさる繊細な関節です。退院後・保険リハ卒業後も、背屈制限・回外制限・握力低下・手指のこわばりが長く残ることが多く、箸・字を書く・パソコン作業・家事などの細かな動作への復帰には、長期的な視点でのリハビリが必要です。
術後の目標は「手が使えるようになること」だけではなく、「安心して手を使えること」です。手関節を固定された後は、「曲げて大丈夫か」「力を入れて大丈夫か」という不安が動作を制限します。これを解きほぐすことが、本来の動きへの最大のリスク要因の一つです。
橈骨遠位端骨折術後は、手関節そのものの可動域回復に加えて、手指の腱・前腕の筋・肘・肩・首の動きが連動して低下していることが多いです。当院では、手関節周囲の硬さと、前腕・肘・肩・頸部を含む上肢全体の動きの再教育を組み合わせて、ご本人とご家族が安心できる動作レベルを目指します。
また、術後に残る手指のこわばり・むくみ・しびれは、骨折部位そのものの問題ではなく、周囲組織の循環・正中神経や尺骨神経の過敏・前腕筋膜の硬さが背景のことが多いです。整形外科的な評価と並行して、上肢全体の循環と感覚を整える役割を担います。
なお、画像診断・抜釘判断・CRPS等の疼痛治療は医療機関の専門領域です。当院では主治医のリハビリ計画と並行し、生活動作の質と再骨折予防を支える役割を担います。
手関節6方向の可動域回復
手関節は背屈・掌屈・橈屈・尺屈・回内・回外の6方向の動きが組み合わさります。術後はとくに背屈と回外が制限されやすく、これが日常動作の不便に直結します。一つひとつの方向を丁寧に取り戻していきます。
手指・前腕・肘・肩の連動の再教育
手首をかばうことで、前腕・肘・肩・首に出ている捻れや筋緊張を整え、上肢全体で支える感覚を再教育します。前腕屈筋群・伸筋群・手指の腱の滑走を段階的に回復させます。
握力・つまみ動作の段階的な再獲得
握力が戻るには、手関節の安定性・前腭筋の機能・手指の腱の滑りのすべてが必要です。タオルを握る→ボールを握る→雑巾しぼり、と段階的に進める方法をサポートします。箸・字を書く・パソコン作業・家事など、生活で大切な動作の再構築も組み込みます。
反対側と再骨折の予防的アプローチ
橈骨遠位端骨折は、骨粗しょう症が背景にあることが多く、反対側や他部位の骨折リスクが高いことを意識して位置づけています。転びにくい身体づくり・両手のバランスを整え、再骨折のリスクを下げます。
段階的に動作の質を整える
退院後・保険リハ卒業後は、おおよそ1週間に1回のペースをお勧めしています。動作が安定してきたら、徐々に間隔を延ばしていきます。
無理のない範囲で続けられる頻度を、ご本人・ご家族・主治医のリハビリ計画と相談しながら設計します。
転倒予防と長く手を使える身体づくり
状態が安定してきたら、2〜4週に1度のメンテナンスに切り替えることをお勧めしています。
橈骨遠位端骨折は、反対側・他部位の骨折リスクが長く続くため、両手・上肢・体幹のバランス・歩行と転びにくさを継続的に整え、長く手を使える身体づくりを支えます。
動き続けることが、回復を支える
受傷後は症状に応じて、可能な範囲で動き続けることが、生活の質を最も大きく左右します。
手は、毎日の生活で最も多く使う身体の道具です。術後の数か月の取り組みが、半年後・1年後の手の使いやすさを大きく決めます。手指のこわばりや握力低下を抱えたまま動き続けると、反対側の手や肩・首への負担が積み重なることもあります。ご家族の協力も大きな力になります。
ぜひ、ご家族と一緒にご来院ください。動きやすさが戻ると、外出する楽しみも戻ってきます。
※ 保有資格として、理学療法士を取得していますが、当院では整体師として活動しています。
※ 当院で提供するサービスは施術や運動指導であり、医療機関が提供するリハビリとは異なります。


