五十肩——「放っておけば治る」が危険な理由と時期別のアプローチ

こんにちは、副院長の大村颯太です。

「夜中に肩が痛くて目が覚める」「腕が上がらなくなってきた」「着替えのときに痛くて腕が通せない」——五十肩の症状に悩んでいる方は多いです。

「放っておけばいつか治る」と言われることもありますが、適切なケアをしないと2〜3年以上長引くことがあります。時期に合ったアプローチが、回復の速さを大きく左右します。

目次

五十肩とは

五十肩の正式名称は「肩関節周囲炎」です。肩関節を包む関節包・靭帯・腱・滑液包などの周囲組織に炎症が起き、痛みと可動域制限が生じます。40〜60代に多く見られ、左右どちらにも起こります(両側に発症することもあります)。

原因は完全には解明されていませんが、加齢による組織の変性・血行低下・ホルモン変化(更年期)などが関与しているとされています。糖尿病の方は発症リスクが高く、症状が長引きやすいことが知られています。

3つの時期と症状の変化

五十肩は一般的に3つの段階を経て経過します。この時期によってアプローチが異なります。

① 炎症期(急性期):数週間〜数ヶ月

安静時・夜間の痛みが強い時期です。夜中に肩の痛みで目が覚めることが多く、睡眠障害につながります。この時期は無理な運動・ストレッチは炎症を悪化させるため、痛みを増さない範囲での軽い運動と安静のバランスが重要です。

② 拘縮期(慢性期):数ヶ月〜1年以上

炎症が落ち着く一方、関節包の癒着・短縮が進んで可動域が著しく制限されます。痛みよりも「腕が上がらない・回せない・後ろに手が回らない」という制限感が前面に出てきます。この時期は積極的な可動域訓練が回復の鍵になります。

③ 回復期(解凍期):数ヶ月〜1年以上

徐々に可動域が戻ってくる時期です。適切なケアをしていれば多くの方が元の動きを取り戻せますが、放置していた場合や拘縮が進んでいた場合は完全回復まで時間がかかります。

肩だけの問題ではない

五十肩の回復を難しくする要因の一つは、肩関節だけを診て周囲の連鎖を見落とすことです。

腕を上げる動作には、肩関節だけでなく肩甲骨の動き(肩甲上腕リズム)・胸椎の伸展・鎖骨の動き・肋骨の柔軟性が連動しています。肩関節が制限されると肩甲骨が代償的に動きすぎてつらくなり、肩甲骨が固まると胸椎・頚椎への負担につながります。

また、利き手側に多い傾向がありますが、反対側の肩・体幹の筋バランスも影響します。「なぜこの時期に発症したか」を姿勢・生活動作・全身のバランスから探ることが再発予防にもつながります。

時期に合ったアプローチ

炎症期にできること

  • 痛みを増さない範囲での振り子運動(コッドマン体操)
  • 夜間痛がある場合はタオルを腋に挟んで腕を浮かせると楽になりやすい
  • 急性炎症がある場合は冷却も検討(温めると炎症が悪化することがある)
  • 無理な伸展・痛みを我慢してのストレッチは避ける

拘縮期〜回復期にできること

  • 肩甲骨の動き(前引・後退・上方回旋)のモビライゼーション
  • 胸椎の伸展・回旋可動域の改善
  • 肩甲下筋・棘下筋・小円筋などローテーターカフのリハビリ
  • 日常動作(洗髪・着替え・高い棚の物を取る)を段階的に拡大していく
  • 温熱(入浴・温パック)で関節包の柔軟性を高めてから運動する

よくある質問

五十肩とはどんな状態ですか?

肩関節を包む関節包や周囲組織に炎症・癒着が生じ、痛みと可動域制限が起こる状態です。40〜60代に多く、炎症期・拘縮期・回復期の3段階を経ることが多いです。

五十肩は放っておけば治りますか?

自然回復することが多いですが1〜3年かかる場合があります。放置すると拘縮が進み回復が遅れることも。時期に合ったケアで回復を早められます。

五十肩で腕が上がらないのは肩だけの問題ですか?

肩甲骨・胸椎・頚椎・肋骨の動きが深く関係します。肩だけでなく肩甲帯全体・胸椎の連鎖を整えることが回復を早めます。

五十肩のときにやってはいけないことはありますか?

炎症期(急性期)の無理な伸展・痛みを我慢してのストレッチは炎症を悪化させます。拘縮期には積極的な運動が必要ですが、タイミングと方法が重要です。

まとめ

五十肩は「年だから仕方ない」ではなく、時期に合ったアプローチをとれば多くの方が回復できます。炎症期は炎症を管理し、拘縮期は積極的に動かし、回復期は日常動作を広げる——この段階を理解して取り組むことが大切です。

「なかなか改善しない」「どの時期にいるか分からない」という方は、ぜひご相談ください。

参考文献

  1. Zuckerman JD, Rokito A. “Frozen shoulder: a consensus definition.” J Shoulder Elbow Surg. 2011;20(2):322-325. doi:10.1016/j.jse.2010.07.008
  2. Walmsley S, et al. “Adhesive capsulitis: a review of the literature.” J Chiropr Med. 2009;8(4):179-187. doi:10.1016/j.jcm.2009.08.004
  3. Hanchard NC, et al. “Physical tests for shoulder impingements and local lesions of bursa, tendon or labrum that may accompany subacromial impingement.” Cochrane Database Syst Rev. 2013;(4):CD007427. doi:10.1002/14651858.CD007427.pub2

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この記事を書いた人

大村颯太
・理学療法士
・健康科学修士
・発達ケア・アドバイザー上級

Sota Omura
・Physiotherapist
・Master of Health Science
・JEFPA Certified Foot Care Advisor
・Developmental Care Advisor

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