脊髄損傷では、退院後に「できることは増えたのに、日常で安定して続けるのが難しい」と感じる場面が少なくありません。移乗や座位、歩行、車椅子操作など、残った機能をどう使うかで暮らしやすさは大きく変わります。
OQでは、麻痺のレベルだけでなく、関節の硬さ、呼吸、姿勢、介助の入り方まで含めて全身を見直します。主治医の方針と並行しながら、今ある機能を活かして続けやすい動作づくりを支えます。
脊髄損傷は、外傷や疾患により脊髄が損傷した状態です。完全損傷と不全損傷に大きく分かれ、損傷レベル(頸髄・胸髄・腰髄)によって症状の範囲が異なります。
- 急性期の医療(脊椎・脊髄外科、救命救急)
- 回復期リハビリテーション病棟での集中リハビリ
- 保険診療リハビリ(理学療法・作業療法・言語療法)
- 装具療法(下肢装具・体幹装具・座位保持装置など)
- 車椅子(手動・電動)・移乗用補助具の処方
- 合併症管理(褥瘡・尿路感染・自律神経機能異常など)
- 住宅改修・社会復帰支援
これらは命と機能を守るために重要な方法です。一方で、脊髄損傷は受傷後一生付き合う症状であり、保険リハビリの期間制限の中だけで動作の質と二次障害予防を続けることは簡単ではありません。とくに退院後・在宅復帰後の継続的な身体ケアが、長期的な生活の質を支えます。
私たちは「脊髄の損傷を治す」立場ではありません。残存機能を最大限に活かし、二次障害を予防し、動きやすい身体の環境を整える立場です。脊髄の損傷部位そのものを変えることはできませんが、関節の動き・筋の柔軟性・姿勢のバランス・呼吸・循環は、丁寧な関わりで変化していきます。
不全損傷では神経回路を活かす視点、完全損傷では残存レベルの機能を使いやすくする視点が重要です。当院は主治医のリハビリ計画と並行して、動きの質と二次障害予防を支える役割として関わります。
残存機能の評価と動作練習
損傷レベル・完全/不全に応じた残存機能を丁寧に評価し、その方の現在地から「次の一歩」をご一緒に設計します。
関節可動域の維持と拘縮予防
麻痺側の関節は固まりやすく、長く放置すると装具・車椅子の使用にも影響が出ます。股関節・膝・足関節・肩・肘・手首を丁寧に動かし、可動域を維持します。
姿勢と座位の安定性向上
長時間の車椅子座位で起こりやすい骨盤の歪みや肩甲帯の緊張を整え、長く座っても疲れにくい身体をつくります。
移乗・起き上がり動作の最適化
ベッド↔車椅子、車椅子↔便座、車椅子↔自動車など、自立度を左右する移乗動作を安全で省エネな形に整えます。
不全損傷の歩行・立ち上がり練習
不全損傷で歩行能力が残っている方には、装具歩行・補助具歩行・自立歩行の質を整え、安全に動ける範囲を広げます。
二次障害の予防・対応
肩痛・腰痛・関節拘縮・循環不全などの二次障害に対し、痛みを和らげながら長く続けられる身体を支えます。
状態と目標に合わせた頻度設計
退院直後・保険リハ卒業直後の集中期は、おおよそ1週間に1回のペースをお勧めしています。動作が安定してきたら、徐々に間隔を延ばしていきます。
ご来院時は、体調・血圧・自律神経症状の有無を伺います。無理のない範囲で続けられる頻度を、ご本人・ご家族・主治医と相談しながら設計します。
長く続ける身体のメンテナンス
状態が安定している時期は、2〜4週に1度のメンテナンスに切り替えることをお勧めしています。
脊髄損傷は受傷後一生のお付き合いになる症状です。定期的に身体を整える時間を持つことが、関節拘縮・褥瘡・循環不全などの二次障害予防に繋がり、長期的な生活の質を支えます。
長い旅路を、一緒に歩む
脊髄損傷は、ご本人・ご家族にとって、人生が大きく変わる出来事です。一度に大きな変化を求めるのではなく、その時期その時期に必要なことを丁寧に積み重ねることが、長い目で見た身体の状態と生活の質を支えます。
「失われた機能」だけでなく、「残された機能」と「これから育てられる機能」に目を向けて、ご本人のペースに合わせて関わります。
筋力低下や歩行の再構築について、別の神経系疾患の視点も参考になります。
Symptoms 症状別ページ一覧を見る神経系の関連ページをまとめて確認したい方はこちらをご覧ください。
理学療法士・健康科学修士。脊髄損傷や脳卒中後遺症など、長期にわたる身体の課題に対して、姿勢・移乗・歩行・二次障害予防を全身のつながりから整えるサポートを行っています。
※ 保有資格として、理学療法士を取得していますが、当院では整体師として活動しています。
※ 当院で提供するサービスは施術や運動指導であり、医療機関が提供するリハビリとは異なります。


