「8時間眠れない自分はおかしい」と思っている人は多い。でも実は、「8時間連続睡眠」という概念そのものが、歴史的にはごく最近の発明だ。
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人類の祖先は「二相性睡眠」をしていた
歴史家のA・ロジャー・エキルチは、産業革命以前のヨーロッパでは「二相性睡眠(segmented sleep)」が一般的だったことを文献から示した。日没後しばらくして「第一の眠り」に就き、夜中の1〜2時ごろに一度目が覚め、1〜2時間起きていた後、「第二の眠り」に戻るというパターンだ。
この中間の覚醒時間は、祈り、瞑想、読書、性交、隣人との会話に使われた。「夜中に目が覚める」ことは、治療が必要な症状ではなかった。人工照明の普及と産業化による「日没後も活動できる社会」が、連続8時間睡眠を「標準」として定着させた。
電気照明が体内時計を狂わせた
ヒトの体内時計は太陽光のスペクトルに合わせて調整されている。夜間の人工照明——特にブルーライトを含むLED・スマートフォン——は、脳に「まだ昼だ」と誤認させ、メラトニンの分泌を抑制する。人類の進化史上、夜間にこれほど強い光にさらされたことはなかった。現代人の慢性的な「眠れない」「眠りが浅い」の多くは、この照明環境のミスマッチから来ている。
「不眠」の再定義
夜中に一度目が覚めても、それが二相性睡眠の自然なリズムである可能性がある。問題は「目が覚めること」ではなく「目が覚めた後に不安になり、再び眠れなくなること」だ。この不安そのものが、体の覚醒システムをさらに活性化させる悪循環を生む。
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