歩くと股関節が痛い、立ち上がりが辛い、長時間歩けない——そんな症状が続いているなら、変形性股関節症かもしれません。
「軟骨が減ったのだから仕方ない」と言われることが多い疾患ですが、痛みや機能低下には筋肉・骨盤・歩き方も深く関わっています。この記事では、変形性股関節症のメカニズムとオステオパシーでできることを解説します。
変形性股関節症とはどんな状態か
変形性股関節症(Hip Osteoarthritis)は、股関節の軟骨が摩耗して骨同士が接触しやすくなり、痛みや可動域の制限が起こる状態です。
日本では発育性股関節形成不全(臼蓋形成不全)を基盤に持つ方に多く、股関節の屋根(臼蓋)が浅いために大腿骨頭が十分に覆われず、加齢とともに軟骨が摩耗していきます。典型的な症状には、股関節前面〜鼠径部の痛み、歩き始めの痛み、長距離歩行後の悪化、靴下や爪切りなど股関節を曲げる動作のつらさ、跛行などがあります。
軟骨だけの問題ではない
変形性股関節症は「軟骨の問題」と思われがちですが、周囲の筋肉・靱帯・骨盤・脊椎との連動が大きく影響しています。
股関節を支える筋群(中臀筋・深層外旋六筋など)が弱化・硬化すると、股関節への直接的な負荷が増えます。骨盤の傾きや脊椎のアライメントが変化することで、股関節への荷重が偏ることもあります。「軟骨が減っているから痛い」だけでなく、「筋のバランスが崩れているから余計に負荷がかかっている」という視点が大切です。
一般的な対処とその限界
鎮痛剤や関節内注射で炎症を抑える方法は短期的には有効です。リハビリで筋力を維持することも重要です。重症例では人工股関節置換術が行われます。
ただし、手術には至らない中等度の症状の方が「何もできることがない」と感じるケースは少なくありません。筋肉・骨盤・歩き方への介入が不十分なまま、痛みと付き合い続けるケースも多いです。
オステオパシーでできること
OQでは、股関節そのものだけでなく、骨盤・腰椎・膝・足部との連動を評価したうえで施術を進めます。

股関節周囲の可動性を回復する
硬くなった関節包・深層外旋筋・腸腰筋などをゆっくりと動かし、股関節が本来持つ可動域を引き出します。可動域が改善すると、日常動作での負荷が分散しやすくなります。
骨盤・腰椎のバランスを整える
骨盤の傾きや腰椎の過剰なアーチは、股関節への荷重を偏らせます。骨盤が適切な位置に保たれることで、股関節への負担が減ります。
歩行パターンの改善
跛行が続くと、健側の股関節・膝・腰にも負担が蓄積します。歩き方の評価と改善指導を合わせて行います。
痛みを避けない動き方を一緒に探す
「動かすと痛い」という経験が重なると、必要以上に股関節を使わない習慣がつきます。安全に動ける範囲を広げていくことを目標にします。

まとめ
変形性股関節症は「軟骨が減った状態」ですが、痛みや機能低下には筋肉・骨盤・歩き方が大きく関わっています。身体全体を診るオステオパシーのアプローチで、手術を遅らせる・あるいは手術後の回復を助けることも目標の一つです。
股関節の痛みで日常生活に支障が出ているなら、一度ご相談ください。
参考文献
- Fransen M, et al. “Exercise for osteoarthritis of the hip.” Cochrane Database Syst Rev. 2014;4:CD007912.
- Brosseau L, et al. “Intensity of exercise for the treatment of osteoarthritis.” Cochrane Database Syst Rev. 2003;2:CD004259.
- Bennell KL, et al. “Physical therapies in the management of osteoarthritis of the hip.” Nat Rev Rheumatol. 2014;10(4):231–240.
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