大腿骨転子部骨折は、太ももの付け根(股関節のすぐ下)の関節包外で生じる骨折です。同じ部位の大腿骨頸部骨折(関節包内)とはタイプが異なり、血流が比較的保たれているため、骨接合術による内固定が選択されることが一般的です。
- ガンマネイル(髄内釘) — 現在の標準的な術式
- スライディング・ヒップ・スクリュー(SHS / CHS)
- ダイナミック・ヒップ・スクリュー(DHS)
- ロッキングプレート固定(粉砕骨折・不安定型)
- 術後早期荷重・早期離床(術後翌日からの離床が標準)
- 回復期リハビリ病棟・通院リハビリ(保険適用)
- 装具・杖・歩行器などの歩行補助具
- 骨粗しょう症治療(再骨折予防)
大腿骨転子部骨折は、頸部骨折より骨癒合が得られやすく、早期荷重が可能な症例が多いとされています。一方で、高齢の方の場合、廃用や転倒恐怖で活動量が落ちやすいこと、反対側の骨折リスクが高いことなど、長期的な視点で動作と生活を支える必要があります。
術後の目標は「歩けること」だけでなく、「安心して動けること』です。歩けても外出が怖くなれば、活動量は減り、廃用症候群が進みます。これは寝たきりへの最大のリスク要因の一つです。
大腿骨転子部骨折は、術後早期から荷重が許可されることが多い一方で、術側に体重を預ける感覚が戻らないと、左右非対称な歩行・反対側への過負荷・転倒不安が長く続きます。当院では、股関節・骨盤・足部の連動と、足裏感覚や動的バランスの再教育を重視します。歩行分析・足裏センサーの活性化を組み合わせて、ご本人とご家族が安心できる動作レベルを目指します。
また、転子部骨折は骨粗しょう症を背景とすることが多く、反対側の骨折リスクが高い症状です。両側の体重支持力と歩行戦略を同時に整えることで、「歩けるけれど次の骨折が心配』という状態から、「動き続けられる」状態へとつなげていきます。
なお、骨癒合の評価・抜釘の判断・骨粗しょう症治療は医療機関の専門領域です。当院は主治医のリハビリ計画と並行して、生活動作の質と転倒予防を支える役割として位置づけています。
股関節周囲の可動域維持
術側の関節可動域(屈曲・伸展・外転)を丁寧に確認し、瘢痕や癒着への配慮をしながら、無理のない範囲で動きを取り戻します。固定材(ネイル・プレート)が干渉する範囲内で、可能な動きを最大化します。
体重移動・荷重感覚の再教育
術側に体重を乗せる感覚が戻らないと、左右非対称な歩行が続きます。荷重練習を段階的に行い、術側への信頼感を育てます。
歩行パターンの最適化
歩行器→杖→杖なし、と段階的に歩行補助具を減らすための、安全な歩き方の指導を行います。歩幅・足の運び・体重移動を細やかに整えます。
動的バランスと転倒予防
方向転換・段差越え・椅子からの立ち上がりなど、転倒リスクの高い動作を安全に練習します。転倒予防(O-22ブログ参照)とセットで取り組みます。
反対側の予防的アプローチ
転子部骨折の方は反対側も骨密度が下がっている可能性が高く、対側骨折のリスクが高いことが知られています。両側の体重支持力と歩行戦略を同時に整え、再骨折のリスクを下げます。
家族向けセルフケア指導
ご家族が自宅でできる足裏マッサージ・歩行サポート・声かけ方法を共有し、日常での継続を支えます。
段階的に動作の質を整える
退院後・保険リハ卒業後は、おおよそ1週間に1回のペースをお勧めしています。動作が安定してきたら、徐々に間隔を延ばしていきます。
無理のない範囲で続けられる頻度を、ご本人・ご家族・主治医のリハビリ計画と相談しながら設計します。
転倒予防と寝たきり予防
状態が安定してきたら、2〜4週に1度のメンテナンスに切り替えることをお勧めしています。
転倒予防(O-22ブログ参照)とセットで取り組むことで、反対側の骨折リスクを下げ、活動的な日常を支えます。骨粗しょう症のある方は、長期的なメンテナンスが寝たきり予防にも繋がります。
動き続けることが、寝たきりを遠ざける
「歳のせいだから仕方ない」と諦める前に、できる範囲で動き続けることが、生活の質を最も大きく左右します。
退院後の日々をどう過ごすかが、半年後・1年後の身体の状態を決めます。転子部骨折後は早期荷重が可能な分、退院直後の数か月で動作の質を整え直すことが、長期予後に直結します。ご家族の協力も大きな力になります。
ぜひ、ご家族と一緒にご来院ください。動きやすさが戻ると、外出する楽しみも戻ってきます。
※ 保有資格として、理学療法士を取得していますが、当院では整体師として活動しています。
※ 当院で提供するサービスは施術や運動指導であり、医療機関が提供するリハビリとは異なります。


