原始反射(モロー反射・ATNR・STNR・TLR・把握反射など)は、赤ちゃんが本来持っている反射で、成長と共に自然に統合されて消えていくものです。一方で、何らかの理由でこれらの反射が学齢期以降も残存していると、姿勢・運動・感覚処理・集中などに影響することがあると一部の発達系の文献で指摘されています。
「学習面の問題はないけれど、なんとなく動きがぎこちない」「体育や書字で苦手が続く」——このような小学生以降のお子さんの困りごとには、以下のような医療・教育的アプローチがあります。
- 小児科・小児神経科での発達評価・経過観察
- 発達外来でのADHD・ASD・LD・DCDなどの鑑別評価
- 作業療法士による感覚統合療法・微細運動課題
- 学校での合理的配慮(必要に応じて)
- スポーツ指導・運動療育(放課後等デイサービス等)
- 家庭での運動経験の積み重ね
なお、「原始反射の残存」という概念は、現代の標準的な医学診断としては確立されたものではないとされています。一方で、運動発達・感覚統合の臨床現場では参考にされる視点であり、当院でもその枠組みを身体の土台を見るための一つの視点として活用しています。
私たちは「発達障害を治す/学習困難を解消する」立場ではありません。お子さんの身体の土台——姿勢・関節・筋緊張・感覚と動きのつながり——を整え、学校生活やスポーツで動きやすい環境をつくる立場です。
小学生以降の「不器用さ」「姿勢の崩れやすさ」「体育の苦手」の背景には、身体側の準備が動作課題に追いついていないことがあります。本来は乳幼児期の遊びや動作経験で自然に整っていく身体の土台が、何らかの理由で十分に育っていない場合、学校生活で急に増える書字・板書・体育・集団行動などの協調が必要な動作でつまずきが顕在化することがあります。
原始反射の視点は、この「身体の土台」を見るための一つの枠組みです。完全に統合されるべきタイミングを過ぎても残っているサインがある場合、残存反射を再経験して統合を促す動き(クロス動作・体軸を意識した動き・ゆっくりとした全身運動など)を遊びの中に取り入れていきます。
なお、ADHD・ASD・LD・DCDなどの発達特性そのものの診断・支援方針は、小児神経・発達外来の専門領域です。当院は医療機関や学校での支援と並行して、身体の土台を整える役割として位置づけています。診断がついている場合も、ついていない「気になる」段階の場合も、どちらにも対応します。
残存反射のチェックと身体の評価
姿勢・関節の柔軟性・左右差・動きの偏りなどから、お子さんの身体の土台の状態を観察します。残存反射のサインがある場合は、それに応じたアプローチを設計します。
姿勢と体幹支持性の調整
骨盤・脊柱・胸郭の歪みを整え、椅子に座って学習する・板書する・運動するときに必要な体幹の安定性を支えます。「座っていられない」の背景にアプローチします。
左右・上下・前後の協調動作の練習
クロスクロール(対側性の腕と脚の連動)・体軸を意識した動きなど、原始反射の統合を促すとされる遊びを取り入れます。「縄跳び・球技が苦手」の土台にアプローチします。
感覚と動きのつながりを育てる
触覚・前庭覚・固有覚などの感覚入力を整え、お子さんが自分の身体を感じやすい状態をつくります。感覚過敏や鈍麻が動きのぎこちなさに影響していることがあります。
スポーツ動作・運動フォームの最適化
取り組んでいるスポーツや、苦手な運動動作(縄跳び・自転車・水泳など)を観察し、身体の使い方を整えます。「フォームが定着しない」の身体側の要因を見ます。
ご家庭でできる遊び・運動の共有
家庭でできるクロス動作の遊び・体幹を使った遊び・感覚遊びなどを共有します。お子さん自身が楽しめる範囲で続けられる形に設計します。
お子さんのペースに合わせた頻度
初期は、おおよそ2〜4週に1回のペースをお勧めしています。家庭での遊び・運動の継続が変化の大きな鍵になるので、来院間隔は無理のないペースで構いません。
体育や運動の発表会・大会前など、目標がある時期は頻度を上げると効果的です。お子さんとご家族のリズムに合わせて設計します。
成長期に伴走する
動きが安定してきたら、月1回程度のメンテナンスに切り替えることをお勧めしています。
身長が伸びる・新しいスポーツや運動を始める・進級して環境が変わる——成長期は身体の使い方が変化しやすい時期です。節目ごとに動作チェックすることで、その時期に必要なケアを届けられます。
「不器用」のラベルではなく、身体の土台を見る
「うちの子は不器用」「運動が苦手」「片付けが苦手」——そんな言葉で片付けられがちな困りごとも、身体の土台の状態を見直すことで、変化が出ることがあります。
お子さん自身が「自分はダメだ」と感じる前に、身体側からのアプローチを試してみる価値はあると考えています。「できないこと」より「楽しく動ける感覚」を取り戻すことを大切にします。
ご家族と一緒に、お子さんの成長を支えていきましょう。
「その日の状態」を最優先します — 初診で場の雰囲気に慣れず泣いてしまう、じっとしていられない、機嫌が悪い——そういう日は、無理に施術を進めません。少し触れるだけ、観察するだけ、お話だけ、で終わる日もあります。それでも十分に意味のある一回だと考えています。
親御さんから引き離しません — お子さんが抱っこを求めるなら、抱っこされたまま施術を進めます。親御さんの膝の上で受けるのも歓迎です。「ベッドに一人で寝てもらわないと施術できない」という考え方は、当院では取りません。お子さんのペースに合わせることを最優先します。
「次に来てくれる」ことを大切にします — 一回で大きな変化を出すことより、お子さんが「また来たい」と思える場をつくることを優先します。場に慣れる過程そのものが、施術の大切な一部だと考えています。
お子さんの普段の様子・苦手なこと・気をつけていること・嬉しいときの反応など、教えていただけると、距離の取り方が大きく変わります。ご家族と一緒にお子さんの育ちを支えていけたらと思っています。
※ 保有資格として、理学療法士を取得していますが、当院では整体師として活動しています。
※ 当院で提供するサービスは施術や運動指導であり、医療機関が提供するリハビリとは異なります。
※ 「原始反射の残存」概念は現代の標準的医学診断としては確立されたものではなく、運動発達・感覚統合臨床で参考にされる視点を当院でも参考としています。


