脳性麻痺は、出生前後の脳の損傷によって生じる非進行性の運動・姿勢障害の総称です。痙直型・アテトーゼ型・失調型・混合型などタイプがあり、症状の重さもGMFCSレベル(粗大運動分類)で5段階に分かれます。
- 小児神経・小児整形外科でのフォローアップ
- 保険診療リハビリ(理学療法・作業療法・言語療法)
- ボツリヌス療法による筋緊張の調整
- 装具療法(下肢装具・体幺装具・座位保持装置など)
- 整形外科的手術(腱延長・選択的脊髄後根切断術 SDR・骨切り術など)
- バクロフェン髄注療法(ITB療法・重度痙性に対し)
これらは大切な治療です。一方で、脳性麻痺は一生付き合う症状であり、保険リハビリの頻度・期間制限の中だけで動作の質を維持することは簡単ではありません。とくに成人期に入ってからの二次障害(関節拘縮・腰痛・肩痛・歩行能力の低下など)については、医療と並行する継続的な身体ケアが鍵になります。
私たちは「症状を治す」立場ではありません。その方の現在の身体の状態を丁寧に整え、動きやすい環境をつくる立場です。脳の損傷部位は変わりませんが、関節の動き・筋緊張のバランス・姿勢の左右差は、丁寧な関わりで変化していきます。
脳性麻痺の方の身体は、長年の代償動作と筋緊張のパターンが組み合わさって作られています。痙直型なら過緊張部位を緩める方向に、低緊張型なら支持性を引き出す方向に——タイプとGMFCSレベルに応じた個別対応が必要です。
また、お子さんの場合は成長期の癖の固定化を防ぐ視点が重要です。骨が伸び、体重が増え、新しい動きが必要になる節目ごとに、関節や姿勢を整え直すことで、将来の動作の質と二次障害リスクが変わります。
成人脳性麻痺の方には、若い頃からの動きの蓄積によって生じた関節拘縮・痛み・歩行能力の変化に対し、無理のない範囲で動きやすさを保つアプローチを行います。
なお、診断・治療方針・手術適応・装具処方は小児神経・小児整形・リハビリ科の専門領域です。当院は主治医のリハビリ計画と並行して、動きの質を支える役割として位置づけています。
筋緊張の調整(タイプ別)
痙直型は過緊張部位を優しく緩め、アテトーゼ型は安定する支持感覚を提供し、失調型はバランス感覚の入力を増やします。タイプに応じた手技を選びます。
関節可動域の維持と拘縮予防
股関節・膝・足関節・肩・肘・手首の可動域を丁寧に確認し、固まりやすい方向への動きを優しく引き出します。装具を活用しやすい関節状態を保ちます。
姿勢と体幹支持性の調整
骨盤・脊柱・胸郭の左右差を整え、座位・立位・歩行で必要な体幹の安定性を支えます。座位保持装置や車椅子を使う方にも、装着時の身体の質を整えます。
歩行・移乗動作の最適化
装具を使った歩行・補助具歩行・自立歩行——それぞれのレベルで、安全で省エネな動作を一緒に練習します。GMFCSレベルに応じて目標を設計します。
成人期の二次障害ケア
大人になって出てきた腰痛・肩痛・関節拘縮・歩行能力の低下に対し、痛みを和らげながら動きやすさを保つ方向でアプローチします。
ご家族・支援者へのセルフケア指導
家庭でできるストレッチ・体位変換・声かけ方法・遊びのアイデアを共有し、日常生活全体が育ちと維持の場になるよう支援します。
状態と目標に合わせた頻度設計
初期の集中期は、おおよそ1〜2週に1回のペースをお勧めしています。新しい動きが定着してきたら、徐々に間隔を延ばしていきます。
装具調整・ボツリヌス治療・整形手術後など、節目のタイミングでは頻度を上げると効果的です。無理のない範囲で続けられる頻度を、ご本人・ご家族・主治医と相談しながら設計します。
長く続ける身体のメンテナンス
状態が安定している時期は、月1回程度のメンテナンスに切り替えることをお勧めしています。
脳性麻痺は一生のお付き合いになる症状です。お子さんは成長段階ごとに、成人の方は二次障害の予防のために、定期的に身体を整える時間を持つことが、長期的な動作の質と生活の質を支えます。
長い旅路を、一緒に歩む
脳性麻痺は、ご本人・ご家族にとって、生まれてから一生続くお付き合いです。一度に大きな変化を求めるのではなく、その時期その時期に必要なことを丁寧に積み重ねることが、長い目で見た動きやすさと生活の質を支えます。
お子さんの場合は成長段階ごとに、成人の方の場合は加齢と共に変化していく身体に対し、節目ごとに伴走させていただけたら嬉しいです。
「できないこと」より「できること・続けられること」を一緒に増やしていきましょう。
※ 保有資格として、理学療法士を取得していますが、当院では整体師として活動しています。
※ 当院で提供するサービスは施術や運動指導であり、医療機関が提供するリハビリとは異なります。


