コリック(乳児疝痛)は何のシグナルか——進化と出産外傷の接点

コリック(乳児疝痛)——生後3週〜3か月頃に見られる、原因が特定できない激しい泣きの繰り返し。

「原因不明」と言われることが多いですが、進化医学とオステオパシーの視点を合わせると、少し違う見方ができます。


コリックの赤ちゃんの泣きに共通するパターン

コリックの定義は「週3日以上、1日3時間以上、3週間以上続く激しい泣き」(Wessel基準)。泣きの特徴は「宥めても止まらない」「夕方〜夜間に集中しやすい」「足を腹部に引きつける」などです。

この泣きのパターン——特に消化器系の不快感を示す姿勢と、副交感神経(迷走神経)優位の時間帯(夕方)に強まること——は、迷走神経の機能と深く関係している可能性があります。


産科的ジレンマとの接点

前の記事で触れた産科的ジレンマ——狭い骨盤から大きな頭が出てくる人間特有の難しさ——は、出産のプロセスで赤ちゃんの頭蓋骨に力がかかることを意味します。

特に吸引分娩・鉗子分娩・長時間の産道通過では、頭蓋骨縫合部や頭蓋底への圧迫・牽引力が加わることがあります。頭蓋底の近くには迷走神経の出口(頚静脈孔)があり、この部位の微細な変位や張力変化が迷走神経の機能に影響することがあります。

迷走神経は消化管の蠕動・嚥下・心拍調節・呼吸パターンに関与しています。この神経への影響が、消化器の過敏性・哺乳時の不快感・睡眠の乱れとして現れることがある。


「原因不明」ではなく「読むべきシグナル」

進化医学の視点から言えば、赤ちゃんの激しい泣きは「故障」ではなく「シグナル」です。何かを訴えている。原因不明として片付けるのではなく、どこからそのシグナルが来ているかを読む姿勢が大切です。


OQがコリックの赤ちゃんを診るとき

OQでコリックの赤ちゃんを評価するとき、頭蓋骨縫合の動き・頭蓋底周囲の張力・後頭骨と頸椎の関係・仙骨の状態を評価します。「出産の記憶が身体に残っている」という観点で、頭蓋底・硬膜・迷走神経の状態を読み取り、それに参与することがアプローチです。

赤ちゃんの施術は非常に軽い接触で行います。力で何かを動かすのではなく、「身体がより楽に機能できる状態に誘う」イメージです。

OQ進化医学コラムシリーズ → シリーズ一覧

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この記事を書いた人

京都オステオパシーセンターOQ 院長。英国スウォンジー大学 BSc(Ost) オステオパシー学士。小児・妊婦・皮膚・内臓・頭蓋オステオパシーを専門とする。

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