子宮摘出術後のオステオパシーケア

子宮摘出手術(ヒステレクトミー)は、日本でも年間数万件行われる比較的多い手術です。でも「手術自体はうまくいった」と言われながら、術後の体の不快感——下腹部の重さ、腸の動きの悪さ、浮腫、疲労——がなかなか改善しないという方が少なくありません。

オステオパシーは、術後の「体が再編成される過程」を支える手技療法です。

手術後の体に何が起きているのか

子宮摘出手術では、子宮とその周囲の靭帯・血管・神経が切離されます。開腹・腹腔鏡・ロボット補助にかかわらず、骨盤内の解剖学的位置関係が変化します。

手術後に起きやすい問題には、次のようなものがあります:

  • 腹部・骨盤内の瘢痕組織(癒着)による引っ張り感・痛み
  • 腸の蠕動運動の低下(ガス腹・便秘)
  • 骨盤内リンパ循環の低下による浮腫(脚・下腹部)
  • 横隔膜・腸腰筋の緊張による体幹の詰まり感
  • 骨盤底筋群の機能変化(尿漏れ・腟の違和感)
  • 仙骨・腰椎周囲の痛みや動きの制限

オステオパシーができること

術後のオステオパシーは「施術で手術の影響を取り消す」のではありません。体が新しい解剖学的構造に適応していく過程で、不要な緊張や制限を整えることを目的とします。

① 腹膜・骨盤内膜の緊張を整える

腹腔鏡手術でも開腹でも、腹腔内では炎症・癒着のプロセスが術後数週間から数ヶ月続きます。癒着が広がりすぎると、腸が引っ張られ、膀胱が動きにくくなり、腰痛の原因になることがあります。内臓オステオパシーのアプローチで、これらの膜の動きを穏やかに回復させます。

② 腸の動きを促す

術後の腸閉塞(イレウス)は重大な合併症ですが、それより軽度の「腸が動きにくい」状態は多くの方が経験します。ガスが溜まる、便秘が続く、食後に重くなる——こういった腸の問題に、腸間膜・結腸の動きを整える施術が役立つことがあります。

③ 体液循環・リンパの流れを促す

骨盤内のリンパ節が術中に操作されることがあります(特にがん手術の場合)。また、術後に体を動かさない時期が続くことで下半身のリンパ循環が落ちやすくなります。横隔膜と骨盤底のポンプ機能を整えることで、体液の流れを改善します。

④ 仙骨・頭蓋のバランスを整える

子宮は仙骨・仙棘靭帯・子宮仙骨靭帯で後壁につながっています。摘出によってこれらの靭帯の張力バランスが変わるため、仙骨の動きに影響が出ることがあります。仙骨と頭蓋をつなぐ硬膜系を通じて、体全体のバランスを整えます。

施術のタイミング

術後の状態が安定してから(術後6〜8週、担当医の許可後)施術を開始するのが一般的です。ただし術式・合併症の有無によって異なります。まずはご相談ください。

よくある質問

手術から何週間後から来院できますか?

術後6〜8週が一般的な目安ですが、腹腔鏡手術であれば4週前後から可能なこともあります。担当の婦人科医・外科医の許可をもらってからご来院ください。

がん手術後(広範子宮全摘)でも対応できますか?

はい。ただし、放射線治療中・化学療法中の施術については事前にご相談ください。担当の腫瘍科医と連携しながら対応します。

婦人科医から「特に問題なし」と言われましたが、体の不快感が続いています。

「検査上は正常」でも、膜の緊張・腸の動き・リンパ循環の低下など、画像では見えない機能的な問題が残ることがあります。そういったケースにもオステオパシーは対応できます。


担当:坂田雄亮(院長・BSc Ost・内臓オステオパシー専門)

オステオパシーは、体を「部位別の集まり」ではなく「ひとつのまとまり」として診ます。🌿 体全体を診るということ

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