赤ちゃんの頭のかたち・授乳困難とオステオパシー

「うちの子、頭の形が気になるんです」——それは多くのお母さん・お父さんが感じる不安です。

赤ちゃんの頭は、生まれてからもまだ「つくられている途中」です。だから形が変わりやすいのは自然なこと。でも、向きぐせ(いつも同じ方向を向いて寝る)が続くと、頭の後ろが平らになったり、左右で非対称になったりすることがあります。

そして頭の形の問題は、見た目だけの話ではありません。授乳がうまくいかない、片方だけ飲みにくそう——そんな悩みも、実は頭蓋の構造と深く関わっていることがあります。

こんなことが気になっていませんか?

京都OQ内観

頭のかたち・向きぐせ

  • いつも同じ方向ばかり向いて寝る
  • 頭の後ろが片側だけ平らになっている
  • 耳の位置が左右で違う気がする
  • 額やおでこの形が左右で違う
  • 向きぐせの反対側を向かせようとすると嫌がる

授乳の困りごと

  • おっぱいに吸い付くのが下手、すぐ離してしまう
  • 片方の乳房だけ飲みにくそう
  • 飲んでいる最中にむせたり、咳き込んだりする
  • 授乳に時間がかかりすぎる(毎回40分以上)
  • お母さんの乳首が痛い・傷つく
  • 体重の増えが心配

ひとつでも当てはまる方は、ぜひ一度ご相談ください。

向きぐせ・斜頭症(しゃとうしょう)とは

斜頭症(plagiocephaly)とは、赤ちゃんの頭が左右非対称になる状態です。多くの場合、向きぐせ(preferred head position)——つまり、いつも同じ方向を向いて寝る習慣——が関わっています。

赤ちゃんの頭蓋骨はまだ一枚の骨ではなく、いくつかのパーツに分かれていて、その間は柔らかい膜でつながっています(大泉門として触れる部分です)。この柔らかさのおかげで産道を通れるのですが、同時に外からの圧力で形が変わりやすいということでもあります。

なぜ起こるの?

向きぐせと斜頭症には、いくつかの要因が重なっていることが多いです。

  • 出産時の影響:産道を通る際に頭蓋骨にかかった力が、非対称なパターンとして残ることがあります。特に長時間の分娩、吸引・鉗子分娩の後に見られやすいです
  • 子宮内の姿勢:妊娠後期に特定の姿勢で長時間過ごしていた場合、生まれる前から向きぐせの「下地」ができていることがあります
  • 頸椎の動きの制限:首の骨やその周りの筋肉・筋膜に緊張があると、頭を回す動きに左右差が生じ、向きぐせにつながります
  • 仰向け寝の時間:SIDS予防のための仰向け寝は非常に重要ですが、起きている時間のうつ伏せ(タミータイム)が不足すると、後頭部への圧が続きやすくなります

授乳困難と頭蓋の関係

「母乳をあげたいのに、うまく飲んでくれない」——その悩みの背景に、赤ちゃんの頭蓋の構造が関わっていることがあります。

母乳を飲むという動作は、実はとても複雑な協調運動です。舌、下顎、舌骨(喉の奥の小さな骨)、口蓋(上あご)——これらを同時に連動させて「飲んで」います。

そしてこれらの動きを制御する神経(舌下神経、迷走神経)は、赤ちゃんの後頭骨を通っています。後頭骨は出生時にはまだ4つのパーツに分かれていて、出産時の圧縮が神経の通り道を微妙に狭めると、吸啜のリズムや嚥下に影響が出ることがあるのです。

小児オステオパシーの世界的権威であるCarreiro博士は、後頭骨のパーツの配列が乱れると、そこを通る脳神経への機械的ストレスが生じ、授乳パターンの乱れとして観察できると説明しています。

いつ相談すればいいの?

多くの向きぐせは生後2〜3ヶ月で自然に改善しますが、以下の場合は早めの相談をおすすめします。

  • 生後3ヶ月を過ぎても向きぐせが続く
  • 頭の非対称がはっきりしてきた
  • 首を反対側に向けるのを嫌がる・泣く(斜頸を伴っている可能性)
  • 授乳のときに片側だけ飲みにくそう

注意が必要なサイン:頭蓋骨の縫合が早期に癒合する「頭蓋骨縫合早期癒合症(craniosynostosis)」は、向きぐせによる斜頭症とは異なる状態です。頭の形が進行的に変化する、大泉門が異常に早く閉じる、頭囲の成長が止まるなどのサインがあれば、小児科または脳神経外科への受診が必要です。当院の評価ではこの鑑別を常に行います。

OQのオステオパシーではこう考えます

まず全体を見る

「頭の形」だけを見るのではなく、赤ちゃんの体全体を評価します。頭の形は結果であり、原因は頸椎、胸椎、骨盤、さらには内臓の緊張パターンにまで及ぶことがあります。授乳困難も同様に、赤ちゃん側の要因とお母さん側の要因が複雑に絡み合っています。

頭蓋へのアプローチ

赤ちゃんの頭蓋骨は非常に柔らかく、可塑性に富んでいます。ごく穏やかな手技で、出産時のモールディング(頭蓋の変形パターン)の残存を解放し、頭蓋骨が本来の対称性を回復する手助けをします。

Carreiro博士はこの時期の治療原則を「Less is more(少ないほど良い)」と表現しています。赤ちゃんの体はまだ「つくられている途中」であり、体が自分で形を整える力を最大限に活かすことが大切です。

頸椎と筋膜の調整

向きぐせの多くは、首の骨や周りの筋膜に微妙な緊張があることと関係しています。穏やかなテクニック(BLT:バランスト・リガメンタス・テクニック)で解放することで、首が左右均等に動きやすくなります。

授乳困難に対しては、後頭骨のパーツ間の圧縮を解放し、舌骨と下顎の連動を回復させるテクニックを用います。治療は赤ちゃんが授乳中やお母さんの腕の中にいる状態でも行えます。

ご家庭でできること

  • タミータイム:起きている時間にうつ伏せの時間を確保する(最初は1〜2分から、徐々に延ばす)
  • 向きぐせの反対側からの刺激:おもちゃや声かけを、向きにくい側から行う
  • 抱き方の工夫:授乳や抱っこの際に、左右均等に姿勢を変える

施術の流れ

初回(約60分)

  1. お話を聞く — 出産の経過、向きぐせの程度、授乳の状況、気になることを丁寧にお聞きします
  2. 体の評価 — 頭蓋、頸椎、背骨、骨盤、筋膜の状態を穏やかな触診で確認します
  3. 施術 — 数グラムの圧で十分に変化する、非常にソフトな手技が中心です
  4. ご説明 — 体の状態でわかったこと、ご家庭でできること、今後の見通しをお伝えします

赤ちゃんが泣いたり動き回ったりしても大丈夫です。抱っこしたまま、授乳しながらでも施術できます。

担当:坂田雄亮(院長・1階)
英国スウォンジー大学オステオパシー学士(BSc Ost)。ベルギーmorphologicumにてアジア人唯一のEVOST(オステオパシー領域の進化医学)修了。小児オステオパシーを専門の一つとしています。

よくある質問

Q. 生後何ヶ月から受けられますか?

生後すぐから受けられます。頭蓋の可塑性が高い早い時期のほうが、変化も出やすい傾向があります。生後2〜3ヶ月頃に来院される方が多いですが、それ以降でも対応可能です。

Q. ヘルメット治療との違いは何ですか?

ヘルメット治療は外側から頭の成長方向を誘導する方法です。オステオパシーは内側から——頭蓋骨のパーツ間の緊張や頸椎の制限を解放することで、体が自分で形を整える力を引き出します。併用も可能ですし、ヘルメットが必要な場合は適切にご紹介します。

Q. 何回くらいで変化が見られますか?

個人差がありますが、多くの場合1〜3回の施術で何らかの変化(向きぐせの改善、吸い付きの変化など)を感じていただけます。頭の形の変化はもう少し時間がかかることが多く、2〜3ヶ月の経過で評価します。

ご予約・お問い合わせ

赤ちゃんの頭の形や授乳のことが気になったら、お気軽にご相談ください。

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京都オステオパシーセンターOQ
〒604-8366 京都府京都市中京区七軒町466
阪急大宮駅 徒歩2分 / 受付 9:00〜22:30(完全予約制)
お子さまの初回:60分枠 5,500円+初診料2,200円(中学生以下)

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