「スマホ首」という言葉が生まれたのは2012年頃です。でも人間の首の構造はそれ以前から同じでした。スマートフォンは首を壊しているのではなく、もともと脆かった首を、壊れやすい条件に置いているのです。
首は「前から吊るす」設計だった
四足歩行の動物の頭は背骨の前方に位置し、首の筋肉は前後のバランスを取るだけでいい。人間が直立二足歩行に移行したとき、頭が背骨の真上に乗る構造になりました。首の筋肉は4〜6kgの頭を24時間支え続けることになった。しかも頭部の重心は頸椎のやや前方にあるため、何もしなくても頭は前に倒れようとする。後頭部から頸椎の筋肉群が常に引き戻し続けています。
前傾角度で荷重は指数関数的に増える
脊椎外科医Kenneth Hansrajの研究によると、首への荷重は前傾15度で約12kg、30度で約18kg、60度で約27kg。スマートフォンを見るときの平均的な角度は45〜60度——つまり首の筋肉には22〜27kg相当の負荷がかかっています。これを1日2〜4時間続けている。石器時代には存在しなかった姿勢です。
4000万年の進化が30年で追いつかない
霊長類の頸部の設計は約4000万年かけて最適化されました。その前提は「多方向に適度に動きながら使う」こと。スマートフォンが普及したのは約30年前。自然選択は世代単位でしか動きません。4000万年の設計が30年の変化に追いつく手段はない。これが「スマホが首を壊す本当の理由」です。
OQが頸部・頭痛・眼精疲労を診るとき
頸部痛、頭痛、眼精疲労は互いに連動していることが多い。眼窩周囲筋膜と頸椎は発生学的に連続しており、眼の疲れが頸椎周囲の張力パターンに影響することがあります。OQでは頸椎だけでなく、眼窩・後頭部・横隔膜の動きを含めた全体のパターンを評価します。
OQ進化医学コラムシリーズ → シリーズ一覧
コメント