側弯症は「骨のくせ」か「体幹の内側」か——進化と均衡の話

「背骨が曲がっている」と言われると、骨の問題と思いがちです。でも、側弯症を骨だけで見ていると、なぜ起きるのかが分からなくなります。


直立二足歩行と「崩れない設計」の難しさ

四足歩行の動物の脊椎は水平の橋です。左右の均衡を保つのは比較的簡単。人間の脊椎は垂直の柱。重心は常に変動し、わずかな左右の筋力差・骨盤の非対称・足のアーチの差が、上方に向かって増幅されます。

直立二足歩行は「完璧な左右対称」を前提にしていません。むしろ、わずかな非対称を常に動的に補正し続けるシステムです。その補正が固定化・習慣化したとき、側弯として現れることがあります。


特発性側弯症のほとんどは成長期に始まる——なぜか

側弯症の大半は思春期(10〜16歳)に発症・進行します。成長期に脊椎の成長スピードが不均一になりやすいこと、筋肉・筋膜の発達タイミングと骨格成長のタイミングがずれることが関係しています。

進化的に見ると、成長期の身体はまだ「直立二足歩行の荷重パターンへの適応」を完成させている途中です。この時期に片側への荷重パターンが固定化されると、代謝場の条件が書き換えられて側弯が進行しやすくなります。


側弯は「骨」だけの問題ではない

側弯症で問題になるのは骨の弯曲だけではありません。脊椎の回旋・肋骨の変位・縦隔内の圧力変化・横隔膜の動きの非対称・骨盤底の傾きが一体となって現れます。呼吸パターン・消化器の位置・自律神経系への影響も出てくることがあります。


OQが側弯症を診るとき

OQでは「弯曲を矯正する」のではなく、「この人の身体全体が今の荷重パターンをどのように記憶しているかを読み取り、より均衡のとれた状態に近づく手伝いをする」というアプローチです。脊椎だけでなく、呼吸パターン(横隔膜)・骨盤底・足底のアーチ・頭蓋骨の非対称まで含めて評価します。

側弯症は「骨のくせ」ではなく、「直立二足歩行という設計の中で、その人の身体が均衡を探し続けた軌跡」と見ることができます。

OQ進化医学コラムシリーズ → シリーズ一覧

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この記事を書いた人

京都オステオパシーセンターOQ 院長。英国スウォンジー大学 BSc(Ost) オステオパシー学士。小児・妊婦・皮膚・内臓・頭蓋オステオパシーを専門とする。

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