「年齢のせいですよ」と言われた人は多い。レントゲンを撮って、軟骨がすり減っているのを見せられて、「変形性膝関節症です、年齢的なものです」と。
でも、チンパンジーに変形性膝関節症はほとんどない。同じ霊長類で、人間とほぼ同じ体重で、野生では何十年も生きている。なぜ彼らの膝は「老化」しないのか。
二足歩行は膝にとって「過酷すぎる条件」だった
四足歩行では、体重は4本の脚に分散される。二足歩行では、すべての衝撃が2本の脚だけに集中する。人間の膝は垂直に積み上げた骨盤・大腿骨・脛骨の接合部にあり、歩くたびに体重の3〜5倍の荷重がかかると言われている。走ると7〜10倍になる。
進化はこの問題を完全には解決しなかった。二足歩行で得たものが大きすぎたからだ——手の自由、視野の高さ、遠距離移動の効率。その代わりに、膝と股関節の軟骨は「磨耗しやすい」という弱点を抱えることになった。これはトレードオフだ。
「座りすぎ」が追い打ちをかける
狩猟採集時代の人間は、1日に平均15〜20km歩いていたという推計がある。その歩きは多様だった。平地、坂、石の上、草の中。足を多方向に使い、太ももの筋肉はさまざまな角度で収縮した。
現代人は1日のほとんどを椅子に座って過ごす。膝を90度に曲げたまま、8〜10時間。この姿勢は、膝周囲の筋肉(大腿四頭筋・ハムストリングス)を慢性的に不活性化し、関節への圧力分散を弱める。
「座りすぎ」という環境は、進化史上まったく存在しなかった。人間の膝は、「使いすぎ」ではなく「一方向への使いすぎ+多方向への不使用」というミスマッチに弱い。
軟骨は「磨耗するだけ」ではない
「軟骨はすり減ったら戻らない」という理解は半分正しく、半分古い。関節軟骨には血管がないため、再生力は限られている。しかし軟骨への栄養供給は関節液の循環によって行われ——関節液の循環は、適切な動きによって促進される。
動かさないことが、むしろ軟骨の劣化を加速させる。痛いから動かない、動かないから筋肉が弱る、筋肉が弱るから関節への衝撃が増える、衝撃が増えるから痛みが増す——この悪循環が変形性関節症の進行を早める。
「老化」と「ミスマッチ」の違い
老化は避けられない。でも、それだけで変形性関節症が説明できるなら、チンパンジーにも同様の有病率があるはずだ。
進化医学的に見ると、変形性関節症は「老化したその身体が、設計想定外の環境に置かれたときに起きるミスマッチ」と理解できる。具体的には、硬いアスファルト・フローリングの上を長時間歩くこと、一方向への繰り返し動作、筋力の低下と体重の増加、長時間の座位が重なって起きる。
オステオパシーからのアプローチ
OQでは変形性関節症を「関節だけの問題」とは見ない。膝の痛みが出ているとき、多くの場合、股関節の可動性の低下、骨盤のアライメントの変化、足部・足首の機能不全が重なっている。膝は「その間にある関節」として、上下からのストレスを受けている。
目標は「軟骨を戻す」ことではない。関節への荷重パターンを変え、周囲の筋肉が正しく機能できる環境を作り、痛みと可動域の改善を目指す。
よくある質問
Q. 変形性関節症でも運動していいですか?
A. はい。適切な運動は関節の保護に重要です。痛みを増やさない範囲での筋力強化と歩行の改善が基本になります。
Q. 人工関節以外の選択肢はありますか?
A. 変形の程度と痛みの状況によります。軽〜中等度であれば、筋力強化・荷重分散・インソールなどの保存療法で症状を大きく改善できるケースは多くあります。手術は最終手段であり、その前にできることは多いです。
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