現代女性の月経は、進化的には「異常な回数」だ——生理痛が増えている本当の理由

「生理痛は我慢するもの」という言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。でも、その言葉はどこから来たのでしょうか。生理痛はずっと前からこんなに強かったのでしょうか。


目次

150回と500回、その差が意味すること

進化医学者のBoyd Eatonらの試算によると、狩猟採集時代の女性の生涯月経回数は約150回でした。初潮が遅く(16歳頃)、平均出産数が4〜5人、授乳期間が3年以上と長く、体脂肪率も低かったため排卵が抑制される期間が多かったからです。

一方、現代日本人女性の生涯月経回数は約450〜500回。晩婚・少子化・授乳短期化が重なった結果です。数字にすると3倍以上


この「3倍化」が身体にもたらすもの

月経のたびに、子宮内膜は剥がれ、炎症が起き、終わると修復されます。このサイクルが年間12回。石器時代の設計では年間4回だったサイクルが、現代女性の子宮では12回繰り返されます。

子宮内膜炎症の蓄積——繰り返しの炎症と修復が慢性的な炎症を帯びやすくします。これが生理痛の一因です。エストロゲン暴露の累積量の増大——エストロゲン依存性のがんのリスクとの関連もここにあります。


生理痛は弱さじゃない、でも当たり前でもない

年間12回の子宮内膜炎症は「設計外」の負荷です。進化的ミスマッチです。生理痛を我慢する必要はありません。かといって、それが「あなたの身体の弱さ」を意味するわけでもありません。


OQが女性の愁訴を診るときに見ていること

生理痛やPMSで来られた方の子宮だけを診るわけではありません。骨盤底の張り、骨盤底と子宮を繋ぐ結合筋膜の状態、仙骨・腸骨のバランス——これらが子宮周囲でも重要です。「月経回数3倍化」という進化的バックグラウンドを知った上で、骨盤底全体の荷重パターンを読み取ることが、OQの女性ケアの出発点です。


まとめ

生理痛は、あなたが弱いからではありません。300万年前の設計に対して、少子化と長寿と授乳短期化が重なって、身体が想定していなかった回数の月経を経験している。どうか、その痛みを「当たり前」と説み伏さないでください。


このブログは「OQ進化医学コラム」シリーズです。
進化医学から見る人体(シリーズ一覧)

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この記事を書いた人

京都オステオパシーセンターOQ 院長。英国スウォンジー大学 BSc(Ost) オステオパシー学士。小児・妊婦・皮膚・内臓・頭蓋オステオパシーを専門とする。

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