不眠を進化医学から読む——「眠れない夜」はなぜ起きるか

眠れない夜が続く。横になっても考えが止まらない。3時に目が覚めてそのまま朝まで眠れない——これは「精神的に弱いから」でも「神経質だから」でもありません。


睡眠は「何もしない時間」ではない

睡眠中に起きていること:グリンパティック系による脳内老廃物の除去(アミロイドβなど)、免疫細胞の記憶形成、成長ホルモンの分泌、細胞修復と再生、記憶の固定化と整理。

これらはすべて「意識がオフになっている間」に行われます。睡眠は積極的な生命維持プロセスです。


「夜中に目が覚める」は設計通りかもしれない

人類学者が調べた狩猟採集民の睡眠パターンは、現代の「理想的な8時間連続睡眠」とは少し違います。多くの狩猟採集民は「二相性睡眠」——深夜に一度目が覚めて、静かに過ごし、また眠る——というパターンをとることが多い。

産業革命以前のヨーロッパでも、「第一の睡眠」「第二の睡眠」という言葉があり、夜中に一度起きることは普通だったことが文献から分かっています。「連続8時間眠れない自分はおかしい」という不安そのものが、現代の不眠を悪化させている場合があります。


現代の不眠を引き起こす進化的ミスマッチ

1. 夜間の光暴露——メラトニン分泌が抑制されて入眠が遅れる。2. 慢性的な交感神経優位状態——「ライオンが追いかけているシステム」が眠れない状態を維持する。寝る前の心配・反芻思考はこのシステムの慢性活性化です。3. 体温調節のタイミング——体温が下がるタイミングで眠気が来る。入浴後すぐ(体温が下がる前)の就寝や、冷暖房で体温変動が少ない環境が影響します。


OQが不眠・睡眠障害の方を診るとき

不眠で来られた方に、OQは自律神経のバランス・横隔膜の動き・頭蓋仙骨リズム・腸間膜の状態を評価します。慢性的な交感神経優位が睡眠を妨げている場合、横隔膜・迷走神経・骨盤底へのアプローチで「身体が安全を感じてオフになれる状態」に近づける手伝いができます。

OQ進化医学コラムシリーズ → シリーズ一覧

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この記事を書いた人

京都オステオパシーセンターOQ 院長。英国スウォンジー大学 BSc(Ost) オステオパシー学士。小児・妊婦・皮膚・内臓・頭蓋オステオパシーを専門とする。

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