「風邪を繰り返す」「治りが遅い」「いつも体が重い」——こういった状態を「免疫が弱い」と表現することが多いですが、進化医学の視点から見ると少し違います。
免疫系の設計前提
免疫系は、急性の感染に素早く対応し、終わったらリセットする——というサイクルで機能するよう設計されています。狩猟採集時代の身体的な脅威(外傷・急性感染)に対して、短期間に全力を出す設計です。
この設計前提で問題になるのが「慢性ストレス」です。コルチゾール(ストレスホルモン)は短期的には免疫を抑制して炎症を抑えます(急性期の過剰反応を防ぐ)。しかし慢性的に高いコルチゾールは、免疫系全体の反応性を下げます。自然免疫・獲得免疫の両方が機能低下する。
現代の免疫低下の3つの主因
1. 慢性ストレスによるコルチゾール慢性高値——前述の通り、「ライオンが何か月も追いかけているシステム」が免疫を消耗させます。
2. 睡眠の質の低下——免疫細胞の記憶形成・NK細胞の活性化は深い睡眠中に起きます。概日リズムの乱れが免疫サイクルを直接妨げます。
3. 腸内細菌叢の変化——免疫系の約70%は腸に集中しています(腸管関連リンパ組織)。超加工食品・抗生物質の多用・食物繊維不足が腸内細菌叢を変化させ、免疫の基盤を揺るがします。
「風邪を引きやすい体質」は変えられる
遺伝的に免疫が弱いケースは存在しますが、多くの「繰り返す風邪・なかなか治らない感染」は、慢性ストレス・睡眠不足・腸内環境の悪化という環境的要因で説明できます。これらは変えられます。
進化的に見れば「免疫系を適切に機能させる環境」に戻すこと——慢性ストレスの軽減・睡眠の質の改善・腸内環境の回復——が、風邪を繰り返す状態への根本的なアプローチです。
OQが免疫低下の方を診るとき
風邪を繰り返す・治りが遅いという方に、OQは自律神経のバランス・横隔膜の動き・腸間膜の状態を評価します。慢性的な交感神経優位状態と免疫低下は密接に関連しており、身体全体の「回復モードに入れない状態」を読み取ることが出発点です。
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