自己免疫疾患——免疫が「敵」を失った結果、自分を攻撃し始めた

リウマチ、橋本病、1型糖尿病、クローン病——自己免疫疾患は現代に急増している。なぜ免疫システムは自分自身を攻撃するようになったのか。進化医学はこの問いに、衝撃的な答えを用意している。

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免疫は「敵のいない戦場」に配備されてしまった

人間の免疫システムは、寄生虫・細菌・ウイルスという明確な「敵」と共に進化してきた。特にTh2系免疫(IgE抗体・好酸球を使う経路)は、本来は寄生虫を排除するために設計されたシステムだ。

ところが現代の衛生的な環境では、これらの「本来の標的」がほぼ消滅した。「敵のいない戦場」に配備された免疫システムは、標的を探して暴走し始める。無害な花粉・食物(アレルギー)、あるいは自己の組織(自己免疫疾患)が標的になる。

腸内細菌叢の崩壊と免疫調節の喪失

免疫の調節に最も重要な役割を担っているのが腸内細菌叢だ。多様な腸内細菌は、制御性T細胞(Treg)を通じて免疫の「過剰反応」を抑える。抗生物質の乱用・超加工食品・帝王切開(産道通過による菌の定着が起きない)・母乳不足——これらが腸内細菌の多様性を激減させ、免疫調節機能を弱体化させている。

「旧い友人仮説」——失われた共生関係

免疫学者グラハム・ルークは「旧い友人仮説(Old Friends Hypothesis)」を提唱した。人間の免疫システムは、何万年もの共進化の中で「特定の微生物・寄生虫と共存する」ことを前提に設計されている。これらの「旧い友人」が失われた現代環境では、免疫の調節機能そのものが崩れる。

OQのオステオパシーからの視点

自己免疫疾患そのものをオステオパシーで治すことはできない。しかし、慢性炎症の増幅要因——自律神経の乱れ、腸の構造的制限、慢性的なストレス応答——を体の状態から整えることは、症状の安定化に貢献できる。免疫疾患を抱える方の体全体の環境を整えることが、OQが貢献できる領域だ。

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この記事を書いた人

京都オステオパシーセンターOQ 院長。英国スウォンジー大学 BSc(Ost) オステオパシー学士。小児・妊婦・皮膚・内臓・頭蓋オステオパシーを専門とする。

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