子宮内膜症が増えている背景に、進化的ミスマッチがある

子宮内膜症という診断を受けた、または疑われていると聞いたことがある方は多いと思います。

「なぜ増えているのか」について、進化医学は興味深い視点を持っています。


子宮内膜症とは何か——基本から

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の外(卵巣、腹腔内、腸管周囲など)で増殖する状態です。月経のたびに出血・炎症を繰り返し、徐々に癒着が進みます。強い生理痛・性交痛・不妊の原因になります。


月経回数3倍化との関係

前の記事でも触れましたが、狩猟採集時代の女性の生涯月経回数は約150回。現代女性は450〜500回。

月経のたびに子宮内膜が剥がれ、その一部が卵管を逆流して腹腔内に流れ込む(逆流月経)ことは、多くの女性に起きています。健康な免疫系がそれを処理できていれば問題になりません。

しかし月経回数が3倍になれば、逆流と炎症の機会も3倍になる。免疫系が処理しきれず着床・増殖が起きやすくなる——進化医学的には、子宮内膜症の増加はこのメカニズムから理解できます。


「免疫の問題」か「回数の問題」か

子宮内膜症は「免疫異常」と説明されることがあります。それは一面では正しい。でも進化医学的に見ると、より根本的には「設計外の月経回数を繰り返していること」が背景にあります。

免疫が特別に弱いのではなく、処理する量が増えすぎているとも言える。


OQが子宮内膜症の方に関わるとき

子宮内膜症で来られた方に、OQは子宮だけを診るわけではありません。骨盤底の張り、腸間膜・仙骨周囲の癒着パターン、腸腰筋・梨状筋の緊張——これらが子宮内膜症の痛みに関与していることが多い。

「月経回数3倍化」という進化的バックグラウンドを理解した上で、骨盤内の筋膜パターンを読み取り、炎症と癒着の影響を少しでも緩和することがOQのアプローチです。「子宮内膜症を治す」のではなく、「骨盤が毎月の炎症サイクルをより少ない消耗でこなせるよう手伝う」というイメージです。


まとめ

子宮内膜症が増えている背景には、少子化・晩婚化・授乳短期化が重なって月経回数が3倍になったという進化的ミスマッチがあります。これは「女性の身体が弱くなった」のではなく、「設計外の負荷がかかっている」ということです。

OQ進化医学コラムシリーズ → シリーズ一覧

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この記事を書いた人

京都オステオパシーセンターOQ 院長。英国スウォンジー大学 BSc(Ost) オステオパシー学士。小児・妊婦・皮膚・内臓・頭蓋オステオパシーを専門とする。

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