進化医学– category –
ミスマッチ症候群・進化医学的観点からの記事
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進化医学
虫垂は「無用の長物」ではなかった——退化しきれなかった器官が守っていたもの
虫垂炎で手術を受けたことがある人は少なくない。「退化器官だ、なくても大丈夫」と言われたかもしれない。でも、2007年、デューク大学の研究チームが小さな騒動を起こした:虫垂は腸内細菌の「バックアップタンク」として機能しているという仮説の発表だ... -
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パニック発作はCO2センサーの誤作動——過呼吸と進化的緊急アラームの話
息苦しい。心臓が急に激しく鳴る。手足が痺れる。空気が足りない感じがする。救急外来に行ったら「異常なし」。血液検査も正常。「パニック発作です、気のせいです」と言われる。 でも、進化医学的にこれは全く「気のせい」ではない。 CO2センサーの進化的... -
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夜中に目が覚めるのは不眠じゃなかった——二相性睡眠と進化医学的な睡眠の再定義
夜中に目が覚めて、それがしばらく続く。また寝られるかもしれないと不安になり、習慣的にスマホを見る。それがさらに覚醒を促す……。 夜中に一度目が覚めることは、実は全く異常ではないかもしれない。 「二相性睡眠」の歴史的証拠 歴史学者のアル・エキル... -
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精子はなぜ半分に減ったのか——男性不妊の増加と環境ホルモンの進化医学
2017年、エルサレムのレビ・レヴィンらのメタ分析が警鐘を鳴らした。1973年から2011年の38年間で、西洋諸国の男性の精子数が59%減少していた。 プラスチックボトル、農薬、栄養補助食品由来の化学物質が、男性ホルモン環境を変えている。 内分泌撹乱物質(... -
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産後うつは「甘え」でも「弱さ」でもない——進化医学から読む産後のつらさの起源
子どもが生まれたのに、喜びを感じられない。赤ちゃんの顔が可愛くない。人に言えない絶望感、画面にモヤがかかったような感覚。 産後うつは、日本では分娩女性の約10〜15%に起きると言われている。なのに、お母さんたちは「こんなことで落ち込むなんて」... -
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病気の遺伝子はなぜ消えなかったのか——Survival of the Sickestと進化医学
進化論に対する最もよくある誤解の一つはこれだ:「自然選択は常に健康な方向に展開する」。ではなぜ鎌状赤血球症(重度の貧血を引き起こす病気)の遺伝子が人類に残存しているのか。 進化医学の最重要な洞察の一つがここにある。 鎌状赤血球症とマラリア ... -
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免疫が自分を攻撃するのはなぜか——自己免疫疾患と衛生仮説の進化医学
橋本病、関節リウマチ(RA)、1型糖尿病、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)——自己免疫疾患の種類は100以上にのぼる。これらはほとんどが現代病だ。第二次世界大戦以前の病歴記録に、現代のような有病率は見られない。なぜこんなに増えたのか。 ... -
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傷が癒えても痛みが止まらない理由——慢性疼痛と中枢性感作の進化医学
こんな経験はないだろうか。病院で「異常なし」と言われた。レントゲンには何も映らない。でも痛みは真実だ。そして毎日生活の負担になっている。 進化医学はこの「説明できない痛み」に、最も強力な説明枠組みを提供する。 痛みは警報システム、スイッチ... -
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ADHDは「脳の病気」ではなかった——狩猟採集者の注意パターンと現代の学校のミスマッチ
「落ち着きがない」「すぐに飽きてしまう」「指示に従うのが難しい」。ADHDの子どもによくこういう言葉が使われるが、進化心理学の視点からすると、これは「病気」ではなく「別の環境への適応」だった可能性が高い。 狩猟採集時代に必要だった脳の特性 狩... -
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孤独は喫煙より体に悪い——社会的孤立という進化的緊急信号
「孤独は1日20本の喫煙より体に悪い」という言葉がある。進化医学者の研究から生まれたこの表現は、誇張ではない。社会的孤立は、喫煙や肥満と同等かそれ以上の健康リスクをもたらすことが、複数の大規模研究で示されている。 なぜ孤独はこれほど体に悪い...