免疫が自分を攻撃するのはなぜか——自己免疫疾患と衛生仮説の進化医学

橋本病、関節リウマチ(RA)、1型糖尿病、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)——自己免疫疾患の種類は100以上にのぼる。これらはほとんどが現代病だ。第二次世界大戦以前の病歴記録に、現代のような有病率は見られない。なぜこんなに増えたのか。

目次

免疫システムは「敵を学習」しながら育つ

免疫系は単純な「敵を撃退する」マシンではない。寄生虫・細菌・ウイルスとの数億年にわたる共進化の中で、非常に精巧な適応を遂げたシステムだ。このシステムは、何が敵で何が味方かを「教師」によって学習する。その教師の一つが、子どもの頃に暴露される微生物(寄生虫、幼少期の細菌性感染症、動物との接触等)だ。

衛生仮説の核心

免疫学者のデイビッド・ストラカンが1989年に提唱した衛生仮説(Hygiene Hypothesis)は、幼少期の微生物への曝露の減少がアレルギー・自己免疫疾患の増加と相関することを示した。

現在は「古い友達仮説(Old Friends Hypothesis)」として進化:問題は「汚くすること」ではなく、免疫の「教師」がいなくなったことだ。人類と共進化してきた寄生虫・共生細菌・土壌居住菌のほとんどいない現代環境が、免疫調節を破綻させている。

「自分を攻撃する」のはなぜか

免疫は「何が敵か」を教師によって学習するが、その教師が不在だと、身近にある自己組織を「敵」として誤認する可能性が上がる。これは免疫の「暴走」ではなく、「学習機会の剥奪」の結果だ。

オステオパシーとの接続

自己免疫疾患の根本的な治療ではありませんが、自律神経の安定化・全身の循環改善・ストレス応答の緩和という観点で、症状の波を穏やかにする補助的な役割が期待できます。橋本病・クローン病・リウマチを持つ患者さんが、進化医学的視点から「自分の病気に意味がある」ことを知ることは、心理的にも大きな支えになりうる。

よくある質問

Q. 自己免疫疾患は完治しますか?
A. 現時点では多くの自己免疫疾患に根本的な「完治」の概念はなく、寛解(症状が落ち着いた状態)を目指すことが主な目標です。ただし生活習慣・腸内環境・ストレス管理で症状を大きく改善できるケースは多くあります。

Q. オステオパシーは自己免疫疾患に何ができますか?
A. 自己免疫疾患の根本的な治療ではありませんが、自律神経の安定化・全身の循環改善・ストレス応答の緩和という観点で、症状の波を穏やかにする補助的な役割が期待できます。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都オステオパシーセンターOQ 院長。英国スウォンジー大学 BSc(Ost) オステオパシー学士。小児・妊婦・皮膚・内臓・頭蓋オステオパシーを専門とする。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次