脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)は、脛骨の上端——膝関節の関節面そのものを含む骨折です。高所からの転落・交通事故などの高エネルギー外傷、あるいは骨粗しょう症のある方の転倒で生じます。関節面の整復精度が将来の膝の機能を大きく左右するため、慎重な手術と長期のリハビリが必要になります。
- 観血的整復・内固定術(ORIF) — ロッキングプレート + スクリュー
- 関節面の陥没を持ち上げる整復(必要に応じて骨移植)
- 創外固定(高度転位・開放骨折・軟部組織損傷重度の場合)
- 関節鏡併用整復(関節内損傷の評価と処理)
- 術後6〜12週間の免荷(他の膝術後より長い)
- 免荷下でのCPM・他動的可動域訓練の早期開始
- 段階的荷重・ヒンジ付き膝装具
- 並存する半月板損傷・靭帯損傷への対応
脛骨高原骨折は関節内骨折であるため、保存的な経過が他の骨折より長く、回復期リハ・通院リハが終了してからも「まだ膝が思うように動かない」と感じる時期が長く続きます。術後6か月〜1年以上の長期視点で動作の質を整えていく必要があります。
脛骨高原骨折後の回復は「焦らず・諦めず・長く続ける」ことが鍵になる症状です。膝関節そのものに加えて、長期免荷で衰えた下肢全体の筋・隣接関節の硬さ・歩行パターンの代償まで含めて整える視点が必要です。
関節面の骨折という性質上、関節面の段差・関節軟骨へのダメージが後々まで影響する症状です。術後の関節軟骨の保護のために、当院では関節面への負担を軽くする動作パターンづくりを重視します。具体的には、股関節・足関節の動きの自由度を確保し、膝関節への負担を分散する全身的な視点を大切にしています。
また、長い免荷期間で衰えた大腿四頭筋・ハムストリングス・下腿三頭筋を効率よく再活性化することは、荷重再開後の歩行の質と転倒予防に直結します。「筋力をただ鍛える」のではなく、「動作の中で必要な筋を必要なタイミングで使えるようにする」視点で関わります。
将来の変形性膝関節症リスクについては、関節面骨折の宿命的な側面があり、当院で完全に防げるものではありません。一方で、膝への負担を分散する歩行・姿勢を保つことで、リスクの進行を緩やかにする可能性は十分にあると考えています。
なお、骨癒合の評価・関節面の状態管理・手術後の合併症評価は医療機関の専門領域です。当院は主治医のリハビリ計画と並行して、長期的な動作の質と関節保護を支える役割として位置づけています。
膝関節の可動域回復(屈曲・伸展)
関節内骨折では、術後早期から可動域訓練が始まりますが、瘢痕や癒着による制限が残ることがあります。膝の曲げ伸ばしを丁寧に確認し、無理のない範囲で関節の動きを取り戻します。
長期免荷で衰えた下肢筋の再活性化
大腿四頭筋・ハムストリングス・下腿三頭筋など、免荷期間で著しく萎縮した下肢の筋を、段階的に動作の中で使えるように再教育します。「筋肥大」ではなく「協調動作の中で動員される質」を重視します。
荷重感覚と歩行パターンの再構築
長い免荷期間の後、術側に体重を預ける感覚を取り戻すには時間がかかります。段階的な荷重練習・歩行分析を通じて、左右非対称な歩き方を整えます。
股関節・足関節との連動の回復
膝関節への負担を分散するために、股関節・足関節の動きの自由度を確保します。関節面に優しい歩き方の土台づくりを行います。
将来の変形性膝関節症リスクへの配慮
関節面骨折は将来的な変形性膝関節症リスクを伴う症状です。膝への負担を軽くする全身の使い方・反対側との左右差調整・体重コントロールの提案など、長期的な関節保護視点でサポートします。
階段・しゃがみ・実生活動作の段階的練習
階段昇降・椅子からの立ち座り・しゃがみ・座る/立つの切り替えなど、日常で「怖い」と感じる動作を、安全な範囲で段階的に練習します。動作への信頼感を取り戻します。
長期戦に合わせた頻度設計
退院後・保険リハ卒業後は、おおよそ1週間に1回のペースをお勧めしています。動作が安定してきたら、徐々に間隔を延ばしていきます。
脛骨高原骨折後の回復は、他の膝術後より長期戦になります。術後6か月〜1年は身体の使い方が変化しやすい時期ですので、節目ごとに状態を確認しながら頻度を見直します。無理のない範囲で続けられる頻度を、ご本人・主治医のリハビリ計画と相談しながら設計します。
関節保護のための長期メンテナンス
状態が安定してきたら、月1回〜数か月に1回のメンテナンスに切り替えることをお勧めしています。
脛骨高原骨折は変形性膝関節症リスクが長期に続く症状です。定期的に膝・股関節・足関節のバランス、左右差、歩行の質をチェックすることで、二次的な痛みや関節症の進行を緩やかにし、長く活動的な生活を支えます。
長期戦を、共に歩む
脛骨高原骨折は、骨癒合・可動域・筋力・歩行・関節保護という複数の段階を順に重ねていく長期戦です。一回で大きな変化を求めるのではなく、その時期その時期に必要なケアを丁寧に積み重ねることが、最終的な回復レベルと長期予後を大きく左右します。
「まだ思うように動かない」という焦りが出やすい症状ですが、「焦らず・諦めず・長く続ける」を合言葉に、ご一緒に伴走させてください。
ご家族の理解と協力もとても大きな力になります。日常生活の動きの工夫や、無理をさせない関わり方も一緒に考えていきましょう。
※ 保有資格として、理学療法士を取得していますが、当院では整体師として活動しています。
※ 当院で提供するサービスは施術や運動指導であり、医療機関が提供するリハビリとは異なります。


