目を閉じると体が揺れる——目は「見るだけ」じゃなかった

施術中に、こんなことをお願いすることがあります。「ちょっと目を閉じてもらえますか?」

そのとき、ほんの一瞬——体がふらっと揺れる方がいます。肩の高さが変わる方もいます。骨盤の傾きがすっと動く方もいます。目を閉じただけなのに、なぜ体が変わるのか。

目次

目は「支えている」

私たちの視覚には2種類あります。文字を読んだり顔を認識する「焦点視覚」と、視界の端で無意識に空間と自分の位置関係を把握する「周辺視覚」です。体のバランスを保っているのは後者の周辺視覚のほうで、意識に上がる前に体の姿勢を自動調整しています。

目を閉じると、この無意識の「支え」が外れます。だから体が一瞬揺れる。これは、あなたの目が日常的に体を支えている証拠です。

目の白い部分は筋膜の続き

もう一つ、驚くかもしれない事実があります。目の白い部分(強膜)は、筋膜の延長です。筋膜は体中を包む結合組織の膜で、足の裏から頭のてっぺんまでひとつながりになっています。その「端」が眼球の白い部分なのです。

つまり、目の緊張は筋膜を通じて首・背骨・骨盤にまで伝わります。目が疲れると肩が凝るのは、物理的なつながりがあります。

蝶形骨——目と頭蓋の交差点

頭蓋骨の中心にある蝶形骨は、眼窩の壁を形成し、視神経が通り、顎の筋肉が付着し、脳を包む硬膜の支点にもなっています。噛みしめが蝶形骨に伝わり、蝶形骨が硬膜の張力を変え、その緊張が首・肩まで波及する——顎・首・肩が「セット」で問題になる解剖学的な理由がここにあります。

目が疲れているとき、OQで何を見るか

目の疲れで来院された方を診るとき、目だけを見ているわけではありません。蝶形骨の可動性、頸静脈孔(眼窩からの静脈の出口)の状態、胸椎上部(目への交感神経が出る場所)の可動性、翼口蓋神経節(涙腺への副交感神経の中継点)——これらが「体の中の目の環境」です。

目薬で補えるのは表面だけで、この環境が変わらなければドライアイや眼精疲労は繰り返します。目の不調で悩んでいる方、一度全体から見てみませんか。

→ 関連ページ:眼精疲労・ドライアイとオステオパシー

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都オステオパシーセンターOQ 院長。英国スウォンジー大学 BSc(Ost) オステオパシー学士。小児・妊婦・皮膚・内臓・頭蓋オステオパシーを専門とする。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次