「自律神経を整えましょう」という言葉、最近よく見かけます。深呼吸、ヨガ、睡眠、腸活——いろんな方法が紹介されています。
でも、「整えた」というのは、体の中で何が起きたんでしょう。
施術をしていて感じるのは、「自律神経を整える」という言い方が、ときどき思考を止めてしまうことがあるということです。自律神経が乱れているから自律神経を整える——それは「原因」の説明になっていません。
自律神経は「応答」している
自律神経系(ANS)は、何か別のものを「コントロール」する独立したシステムではありません。体全体のシステムの中に統合されており、体内環境の変化に対して応答しているのです。
例えば。横隔膜が硬くて動きが悪い。横隔膜は迷走神経(副交感神経の主幹)が通過する場所です。横隔膜の動きが制限されれば、迷走神経の機能に影響が出る可能性があります。深呼吸をしたとき「ふっと楽になる」感覚は、横隔膜が迷走神経の緊張を少し解放しているからかもしれない。
首の上部(C1・C2)の関節が詰まっている。ここには脳幹がすぐそばにあり、自律神経の「司令塔」が集中しています。首の上部の関節機能不全は、自律神経の出力パターンを変えることがあります。
内臓の動きが制限されている。胃や腸が筋膜で固まっていると、内臓体性反射を介して交感神経が過緊張します。「ストレスで胃が痛い」の逆もある——「内臓が固いからストレスに弱くなる」のです。
OQで「自律神経に働きかける」とき
施術で「自律神経に働きかけた」と感じるのは、首の深部の緊張が緩んで迷走神経への圧迫が減ったとき、横隔膜の制限が解放されて呼吸が深くなったとき、仙骨の動きが戻って脳脊髄液の流れが改善したとき——です。
これらは「自律神経を整えた」というより、自律神経がより自由に機能できる構造的な環境が戻った、ということです。
「乱れている」という言葉に止まらないために
「自律神経が乱れている」と言われたとき、そこで思考を止めないことが大切だと思います。首の関節か、横隔膜か、内臓の筋膜か、脳幹レベルの過緊張か——その問いに付き合うのが、オステオパシーの仕事の一つです。
→ 関連ページ:自律神経の乱れとオステオパシー

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